大竹7回0封5連勝!ハーラー首位タイ
「交流戦、西武0‐1広島」(22日、西武ド)
広島の大竹寛投手(30)が5連勝でハーラートップタイの5勝目をマークした。チームの連敗も3でストップ。21日に30歳の誕生日を迎えた右腕は、二回以降毎回走者を背負いながらも、粘りの投球で7回を無失点。地元埼玉で、自らに誕生日プレゼントを贈った。
引きつりそうな顔を、思わず両手で押さえ込んだ。九回、ミコライオが1死一、三塁の大ピンチ。ベンチから険しい表情でグラウンドを見つめた大竹だったが、2死後、星孝が三ゴロに倒れると、満面に笑みが広がった。
自身5連勝の5勝目で、巨人・菅野、阪神・メッセンジャーと並び、勝利数がリーグトップに立った。しかし、それよりもうれしかったのはチームの連敗を止めたこと。「連敗していたので勝ててよかった」。ヒーローインタビューの第一声は、これしかなかった。
一回以外は毎回走者を背負う苦しい投球だった。最大のピンチは六回だ。栗山に中前打、オーティズに四球で無死一、二塁。それでも冷静さを失わず、ヘルマンを遊ゴロに仕留め、1死一、三塁。続く大崎も二ゴロに打ち取ると、三塁走者の栗山を挟殺プレーでアウトにし、二塁を回って飛び出したヘルマンも挟殺プレーでアウト。幸運な併殺で乗り切った。
結局7回を無失点。「(六回の大崎は)ゴロにしたい気持ちがあった。低めを攻め、シュートを引っかけてくれればと思っていた」。最大のヤマ場を満足そうに語った。
21日に30歳になった。高卒でプロ入りし、今年で12年目。改めて振り返ると、プロに入る前に思った“理想の自分”とは違うという。途中までは順調だったが、10年の春季キャンプ中に右肩痛を発症。「若いときは理想を追っていたけど、けがをしたことで理想を追えなくなった」と心境の変化を明かした。
それでも新たな自分を探し出し、昨年は自己最多の11勝をマーク。「今は地に足をつけて、自分の状態を見られるようになった。その状態にあわせて投球をできるようになった」。力任せの投球から大人の投球に変化し、30歳になった今も進化を続けている。
前田健でも止められなかった連敗を止めた大竹。「これで明日も勝てば連勝になるね」。誰よりもチームの勝利を願う30歳右腕は、連勝のバトンを仲間に託した。