マエケンで3位浮上!要所締めた!
「交流戦、広島6-4楽天」(26日、マツダ)
広島・前田健太投手(25)が5勝目を挙げた。8安打を浴びながら、今季初となる2桁の10三振を奪い、7回3失点。要所を締めた。これでチームはDeNAと入れ替わり、3位に浮上。エースでつかんだ勝利だけに、チーム全体はどんどん勢いに乗っていきたいところだ。
決して会心の5勝目ではない。松山とともに上がったお立ち台で、前田健の口からは反省の弁が並んだ。「最悪の投球。野手のみなさんに勝たせてもらいました」。内容にも強くこだわる。エースとしてのプライドが垣間見えた瞬間だった。
三回まで1人の走者も許さなかった。初回、藤田を遊ゴロに打ち取った直球は、自己最速タイの152キロを計測した。
だが、四回に1点の先制を許すと、松山の3ランで3‐1と逆転した直後の五回にもつかまった。先頭の小斉に、真ん中に甘く入った直球を右中間席に運ばれた。
そして七回もそのリプレーとなった。六回に丸の2ランでリードは3点に広がっていた。この回を無失点で切り抜ければ、勝利がグッと近づく局面で下位打線に3連打され、1点を失った。「点を取ってもらった後の回もそうだし、打順もそう。点の取られ方が悪い」と表情はさえなかった。
それでも最少失点で切り抜けるところはさすがだ。七回2死一、二塁では絶妙なけん制球で二塁走者を刺し、相手の士気を下げた。今季初の10奪三振で5勝目。野村監督は「すんなりといくところで点を取られたけど、勝ちがついて安心した」と、胸をなで下ろした。
88年生まれ。同い年の楽天・田中と25日の試合前にWBC後初めて再会した。そろって日の丸を背負った向こうのエースは、22日の巨人戦で沢村に投げ勝ち“同級生対決”10勝を挙げている。
前田健は「投げ合ったら勝つ可能性は少ないかもしれないけど、純粋に勝負を楽しめる数少ない投手。なかなか当たらない」と今回もお預けとなった夢対決への思いを吐露した。
この日は試合中盤に背中や腰を触るしぐさをみせた。山内投手コーチは「シーズン前からある。常にテーピングはしている」と軽症を強調。次回登板について「明日、あさっての様子をみてだけど、大丈夫」と問題視しなかった。
本人も「大丈夫。いつも触っているので」と話し、「次は自分の力で勝ちたい」ときっぱり。飽くなき向上心を持つ右腕の力強い言葉が頼もしい。