野村監督 2軍に緊急SOS電話
「交流戦、オリックス7-1広島」(2日、京セラ)
広島は今季3度目の4連敗を喫し、借金は最多8。DeNAの勝利で順位も4位に落ちた。4試合でわずか5得点の貧打線は深刻で、野村謙二郎監督(46)は試合後に監督室から即2軍に電話し“SOS”。右手骨折から復帰したブラッド・エルドレッド内野手(32)の状態を確認したが、昇格の前倒しは見送られた。有効な打開策もなく、指揮官の苦悩と我慢は続く…。
いつもは試合後、真っ先に引き揚げる野村監督が10分以上も監督室にこもったまま出て来なかった。選手、コーチ陣は全員、帰りのバスへと乗り込んでいた。マネジャーが心配しながらノックし入室すると、ようやく部屋から姿を現した。
「ファームと話していた。エルドレッドがきょうもいい感じで活躍した」。指揮官は完敗後、即2軍へ電話。大阪から約280キロ離れた島根・石見でウエスタン・ソフトバンク戦を戦った助っ人砲の状況を確認していたのだ。
深刻な貧打線に救世主を待望する思いが“SOS”電話につながった。オリックス・西の前に八回までゼロ行進。九回2死から丸のソロで完封負けを免れるのがやっと。今季3度目の4連敗。その4試合は、わずかに計5得点と下降する打線に歯止めが利かない。
指揮官は毎試合のように打線を組み替えてきた。この日も新人・上本を先発起用し、新鮮力に期待したが不発。4番・広瀬も5番・ニックも3打数無安打に終わった。
即効性のある打開策は現状ではエルドレッドしか見当たらない。4月20日の巨人戦(マツダ)で右手に死球を受け第5中手骨骨折で実戦復帰まで6~8週間と診断された。だが驚異的な回復力で1日のウエスタン・ソフトバンク戦で復帰し、代打本塁打。この日は5番・左翼で先発し、初回に適時二塁打を放った。
5月30日に2軍・由宇球場でフリー打撃を再開した際は指揮官自ら、チェックに向かった。開幕から4番に入った助っ人の早期昇格を願う思いは強く、2軍からも打撃好調の報告を受けた。
だが8日の西武戦(マツダ)を予定している1軍昇格プランに現段階で変更はない。「もう少し打席数が欲しいということだし、いい感じで(1軍に)上げたいから」と“前倒し”は自制した。
借金は今季最多の8に膨らんだ。苦悩と我慢の続く指揮官。「打線が頑張らないと。誰か出てきてほしい。(エルドレッド合流まで)辛抱するしかない。打線の方を考えてまた頑張ります」。自らに言い聞かせ、鯉ナインの待つバスに乗り込んだ。