野村鯉、最下位も連敗からも大脱出!
「交流戦、広島4-1ロッテ」(6日、尾道)
やっと泥沼から抜け出せた。野村鯉がロッテを逆転で破り、連敗を6でストップ。最下位を一夜で脱出。苦しい試合だったが、チームを救ったのは梵英心内野手(32)。守備では好守で投手陣を救い、打撃でも八回に勝利を決定づける適時二塁打を放った。野村謙二郎監督(46)は監督通算200勝を達成。この勝利を弾みに、今度は連勝を目指す。
忘れかけていた感覚だった。ミコライオが九回を締めて、5月26日の楽天戦以来、実に11日ぶりの勝利の味。真っ暗闇のトンネルに迷い込み、もがき苦しんだ鯉戦士たちは、一塁ベンチ前ではじけるような笑顔でハイタッチを交わした。
連敗が6で止まり、どっと疲れが出てきたのは野村監督だった。報道陣が周りを囲むと、「疲れた。座ったままでいい?」とイスにどっかりと腰を下ろした。そして「バリントンがファイトあふれるプレーで降板するアクシデントがあったけど、(五回に代打の)岩本がよく打ってくれた」と振り返り、「あと、今日は“梵デー”でしょう」と白い歯を見せた。
連敗中の悪い流れで試合は進んだ。二回にスクイズで先制点を奪われ、追いかける展開。五回には好投のバリントンが守備で右腰を強打し、六回から続投は不可能になった。ただ五回の攻撃で、そのバリントンの代打で打席に立った岩本が同点打。試合を振り出しに戻し、反撃態勢を整えた。
ここから攻守でキーマンとなったのが、梵だった。まずは勝ち越し点を挙げた直後の七回の守備。1死一、三塁で荻野貴の三遊間へ飛んだ低いライナーをダイビングキャッチ。続く八回には2死二塁で、角中の中前へ抜けそうな打球を好捕。球際の強さでことごとくピンチを食い止めた。
そして打撃でも勝負強さを発揮した。八回に無死一、二塁の好機を得たが、エルドレッド、広瀬が連続三振。リードはわずか1点。嫌な雰囲気が漂う中、松永から走者一掃となる左越えの適時二塁打。二塁ベース上でもガッツポーズはなく、試合後も「ああいうところで打ちたかった」とクールに決めた。
この勝利で最下位を脱出し、4位に再浮上。監督通算200勝を達成した野村監督は「今日は守備がしっかりできた。(200勝は)長かったね。一つ一つの勝利を選手に感謝したい」と喜んだ。もちろんこれで満足はしていない。もう一度足元を固め、6月反攻に挑む。