中崎が先発初星!野村鯉連勝で3位浮上
「交流戦、広島1‐0西武」(8日、マツダ)
広島・中崎翔太投手(20)が7回2安打無失点で、プロ2勝目を挙げた。先発では初勝利。最速149キロの直球が切れ、ゼロを並べた。7イニングは自己最長。当初、先発予定だった前田健太投手(25)の代役を務めた若き右腕が、苦しい先発陣の救世主に名乗りを上げた。チームは3位に浮上した。
ナインと勝利のタッチを交わすと、中崎の顔がようやくほぐれた。7回2安打無失点でプロ2勝目。そして先発初勝利。「うれしい」とシンプルな言葉で喜びを表現した。
直球、変化球とも抜群のキレをみせた。四回2死、栗山を空振り三振に仕留めた直球は自己最速の149キロを記録した。チェンジアップ、カーブも織り交ぜ、タイミングを外した。六回まで1安打と、各打者に付け入る隙を与えなかった。
七回、球威が落ちたところで2死満塁と一打逆転のピンチを背負った。六回、一塁ベースカバーに走った際にでん部が、つった状態になっていた。万全ではない中で「腕を振ることだけを考えた」。もう一度、力を振り絞り、代打・スピリーを遊ゴロに打ち取った。
当初この日は、前田健が先発する予定だった。だが2日に右脇腹痛で出場選手登録を抹消された。救世主の登場に野村監督は「何かをつかんだのではないか」と称えた。
2軍での再調整が実を結んだ。5月上旬に登録抹消後、ダッシュなど1日5キロの走り込みを敢行し、徹底して下半身を強化。さらに、リリース時に「しっかり前足に体重が乗せられるようにしてきた」。打者により近い場所で球を離せるフォーム習得に励んできた。
西武には同じ投手で、2学年上の兄・雄太が在籍する。5月上旬に兄が1軍に昇格した時は「頑張れ」とメールした。自身の登板前には「頑張れよ」と激励された。兄は今2軍で、今回は“競演”できなかった。いつかは兄弟で投げ合いたい夢がある。「兄が頑張るためにも西武に勝っておこうと思いました」。チクリとプレッシャーをかけ、プロでは未勝利の兄を再び励ました。
首脳陣の評価は急上昇だ。山内投手コーチは、前田健と右腰を痛めているバリントンの状態次第では、残りの交流戦で中崎の先発起用を示唆。リーグ戦再開後の先発についても「6人そろえる中での候補」と話した。
「状態はいいので、これを続けていきたい」。7回零封で自信を深めた若武者が、巻き返しを図る野村鯉の一翼を担う。