松山ア~ンパ~ンチ!逆転決勝3ラン

 「交流戦、広島5‐3西武」(9日、マツダ)

 背番号37を付けたアンパンマンは鯉党のヒーローだ!広島・松山竜平外野手(27)が1点を追う七回に4号3ランを放ち、劇的な逆転勝利。松山が本塁打を打てば負けない“不敗神話”で、野村鯉は6連敗後、3連勝をマークした。また、この勝利で西武に4連勝し、球団初の交流戦同一カード全勝を飾った。

 ヒーローがグラウンドに舞い降りた。1点を追う七回1死二、三塁。「アンパンマンのマーチ」の曲に乗って打席に入った松山だったが、初球の内角へ食い込むボール球のスライダーを空振りした。「やばい」。続く高めの直球もファウルにし、あっという間に追い込まれた。

 それでも必死に粘り、十亀が投じた5球目。またもやスライダーが内角のひざ元へ曲がってきたが、今度は捉えた。打球は大歓声に押され、そのまま右翼席へ。逆転の4号3ラン。右手を高々と突き上げてダイヤモンドを駆け抜ける姿は、まさしくヒーローだった。

 試練は試合後にも待っていた。お立ち台でのヒーローインタビューで、最後にファンに一言を求められた時だ。隣にいた菊池が「鹿児島のじいちゃん、ばあちゃん、オレやったよ」と絶叫。5月26日に上がった前回のお立ち台でも前田健に先に言われた、松山の決めゼリフだった。

 チームメートによる、容赦ない“松山つぶし”。前田健の時は動揺してしまったが、今回は想定内だった。「全国の広島カープファンのおじいちゃん、おばあちゃん、オレやったよ」。笑顔でヒーローインタビューを締めくくると、ドヤ顔でベンチ裏に引き揚げた。

 パ・リーグとの対戦で、打撃が覚醒した。交流戦は、39打数17安打で打率・436。交流戦前まで打率・230だったが、現在は・301まで上昇した。他の選手はパ・リーグの初対戦の投手に苦しんでいるが、「僕は気にしないので、どんな投手が来ても一緒」と笑い飛ばした。

 ただこれぐらいで松山は満足していない。「今年がダメならばクビだと思って、自分にプレッシャーをかけているので」。今季は本塁打を打った4試合が全勝であることを報道陣から聞くと、「それじゃあ、もっと打たないといけないですね」と力強く言い切った。空を飛べないアンパンマンは、これからもバットで鯉党に幸せを運ぶ。

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