堂林プロ初逆転サヨナラ弾「最高です」
「広島5-4ヤクルト」(23日、マツダ)
広島・堂林翔太内野手(21)が逆転サヨナラ2ランを放った。3‐4の九回1死二塁の場面で、ヤクルト・山本哲が投げた低めに落ちるフォークをすくい上げ、左翼席へ放り込んだ。チームの連敗を4で止め、3位を死守する値千金の一発。プリンスの一振りが、野村鯉に10日ぶりの勝利をもたらした。
プロ初のサヨナラ弾に、堂林の血は沸騰していた。「初のサヨナラヒットがホームラン。気持ちいい。最高です!」。マツダスタジアムで今季初めて上がったお立ち台で、鯉党へ向けて絶叫した。チームメートから浴びせられた勝利のシャワーが心地よかった。
3‐4で迎えた九回1死二塁だ。カウント1ボール2ストライクからの4球目。山本哲の真ん中低めに落ちる132キロのフォークをすくい上げた。「手応えはあった。いつもは三振している球だと思う。しっかりと前足に体重が乗って拾えた」。打球は失速せず、左翼席へ飛び込んだ。
チーム今季3度目のサヨナラ勝利。チームのサヨナラ本塁打は、10年8月27日の巨人戦(マツダ)で天谷が打って以来、3年ぶりだ。野村監督は「まさかホームランとは。もぐり込んで(姿勢を低くして)打てと言ってきた。初めてそれをやってくれた」と喜んだ。
もがき、苦しんだ末に手にした歓喜の瞬間だ。昨季は唯一全試合に出場。今季も開幕スタメンに名を連ねた。しかし、打撃は上向かず、5月26日の楽天戦でついにスタメンを外れた。試合前までの成績は打率・218、2本塁打だった。
マツダスタジアムでの試合後は、毎日のように球場内の練習場にこもり、緒方打撃コーチ、畝スコアラーに投げてもらい、フリー打撃に汗を流した。スイングの時に左足が突っ張る悪癖を修正しながら「球の内側を打つイメージ」で、黙々とバットを振った。サヨナラ弾を放ったこの試合の後でも、それは変わらない。「いつも投げてもらっている。やっと恩返しができたかな」。2人への感謝の言葉を口にした。
チームは3位に踏みとどまった。堂林が復活のきっかけをつかめば、この1勝の意味はさらに大きくなる。
25日からは本拠地に首位・巨人を迎える。今季は1勝7敗1分けと大きく負け越している相手。「負けっ放しなのでね。勝ちきれるように頑張りたい」。プリンスの言葉に、力強さが戻ってきた。