広島の今村猛投手（２２）が２６日、出場選手登録を抹消された。今年はＷＢＣ日本代表にも選ばれ、開幕から不動のセットアッパーとして起用されたが、不振の連続。一向に本調子に戻る気配がないため、首脳陣が２軍での再調整を命じた。今村の２軍降格は３年ぶり。大きな戦力が抜けた野村鯉は、巨人に屈辱の完封負け。４位に転落し、今季最多タイの借金１０となった。

　し烈な３位争いを繰り広げる野村鯉に、激震が走った。午後３時。今村が出場選手登録を抹消された。ここまで我慢して起用し続けた野村監督は「一度２軍に落として、また状態が上がってくれば。（２軍での再調整は）彼らしさを取り戻すための一番の近道」と厳しい表情で語り、今村は「しっかり調整してこいということなので」とうつむいた。

　ＷＢＣの日本代表に選ばれた右腕への期待は大きかった。昨年に続き、今年も開幕から守護神ミコライオにつなぐセットアッパーとして登板した。しかし、防御率１・８９をマークした昨季のようなキレはなく、簡単に安打を浴び、何度もピンチを作る場面が目立った。

　それでも野村監督は「今村のポジションは変わらない」と信頼し続けた。だが２５日の巨人戦で八回に登板し、１アウトしか奪えずに降板。この投球で復調の兆しが見えないと判断され、２軍降格が決まった。

　復帰時期は今村自身にかかっている。一番の課題は不安定な制球力の修正。最短復帰は１０日間だが、山内投手コーチは「もう一度最初に戻って投げ込み、技術練習をした方がいい。（復帰の）期間はわからない。短期間で戻ってきて欲しいけど。ブルペンで投げるボールに不安があるうちは難しい。２軍で２、３試合投げ、自分が自信を持つことが大事」と語った。

　事実上、無期限の２軍降格だが、今村にとっては自分を見直すときだ。今年はＷＢＣのために始動が早く、無理をした部分があった。５月ごろには右肘に違和感を抱きながら投げていた。３年ぶりの２軍降格はショックだが、一度リフレッシュし、下半身をつくり直し、フォームをチェックするしかない。

　今村の代わりのセットアッパーは固定せず今井や久本らが相手打線に合わせて登板する方針だ。この日は先発の中崎が炎上した投手陣。台所事情が苦しくなってきたが、何とか完璧な状態の今村が戻ってくるまで踏ん張るしかない。