大竹敢闘賞!祖母が住む福島で快投
「オールスター・第3戦、全パ3-1全セ」(22日、いわき)
東日本大震災の復興支援試合として第3戦を行い、全パが全セに逆転勝ちした。全セの広島・大竹寛投手(30)は三回から登板して3回1安打無失点。昨年、2回1/3で2失点した東北の地で雪辱し、敢闘賞を初受賞した。MVPにはソフトバンクの内川聖一選手(30)が初めて選ばれた。球宴での復興支援試合は今回が最後となる。
大竹は試合後、雨の中、晴れやかな表情で100万円のボードを掲げた。球宴で初めての表彰となる敢闘賞をゲット。「気持ちがいい。うれしい」と顔をほころばせた。
2番手で登板し3回1安打無失点。昨年の雪辱を果たした。三回、陽岱鋼、長谷川、糸井を飛球3つで料理。四回も先頭の4番・中田を142キロで空振り三振に仕留めるなど、3人で封じた。
五回は先頭・浅村に右前打を許したが後続をピシャリ。「全球種を使う」と宣言していたが直球とシュートのみだった。コーナーを丁寧に突く貫禄の25球だった。
昨年も第3戦(盛岡)に登板し、2回1/3を2失点。「去年ボコボコに打たれたので、ゼロに抑えられて気持ちいい」と、満足顔で振り返った。
昨年の盛岡に続き、東日本大震災の被災地での登板。「少年野球の子には夢がある。プレーで明るく笑顔に」と話していた。この日も、外野席はユニホーム姿の野球少年たちでビッシリ埋まっていた。「懸命に投げて楽しんでもらえたらと思った」。言葉通り、本気の投球で少年らに応えた。
福島には祖母の家があり、子供のころは夏休みになると毎年のように遊びに来た。この日も叔父ら5人を球場に招待していた。震災後、福島原発の放射能汚染では身近な人も被害にあっていた。「いとこの姉が飯舘村で養鶏をやっていて鶏を全部、燃やしたと聞いた」。プレーで勇気付けたい思いは強く持っている。
球宴中、「去年は切れが落ちた」と反省を生かし、練習量を落とさなかった。第1戦、第2戦とも走るメニューはいつも以上。21日、いわきへの移動日には午前中、東京の宿舎周辺をランニング。「道に迷って30分の予定が1時間半も走ってしまった」と“誤算”もあったが、高い意識が敢闘賞を呼んだ。
昨年は前田健がMVP、野村が敢闘賞に輝いた。2年連続で鯉投のレベルの高さを証明した。「後半戦にいい形でつなげられる」と大竹。賞金の使い道は「飯に行きますよ」と鯉ナインに還元する予定。後半戦へ向け、赤ヘルに勢いをもたらした。