マエケン7回0封 8・6にエースの意地
「広島1-0阪神」(6日、マツダ)
白熱の投手戦で、エースがしっかり役目を果たした。111球投げ、7回を5安打無失点。広島・前田健は右肘に張りを訴え、リリーフ陣にマウンドを譲ったが、「最近、大量得点の試合が多かったけど、今日は相手投手がよかった。こういうときに投手が粘らないといけない」と満足そうに頬を緩めた。
序盤はピンチの連続だった。一回は2死から、二回は無死から、それぞれ連打を浴びた。何とか無失点で切り抜けると、三回から本来のリズムを取り戻し、四回のマートンの打席では今季最速タイの152キロをマーク。「全体的にはよくなかったけど修正できたと思う」と振り返った。
「ピースナイター」として開催されたこの日は、いつもと違った。鳴り物の応援は自粛され、五回終了後には吉川晃司が歌うイベントがあった。「ファンの方もたくさんいたし、歌があったし、違う雰囲気だった」と感じながら投げた。
8月6日に広島で登板したのは初めて。前田健は入団後、初めて平和記念公園を訪れた。原爆ドームを見て、原爆資料館にも足を運んだ。「(原爆資料館は)想像以上だった」と衝撃を受けたという。
それ以降、毎年平和記念公園には訪れている。「広島に来てから(8月6日への)思いは強くなった」。この日に投げた経験は、勝敗とは異なる何かを得られたはずだ。