丸サヨナラ犠飛!55年ぶり8・6白星
「広島1-0阪神」(6日、マツダ)
ピースナイターとして行われた原爆の日「8・6」の試合に赤ヘルが劇的勝利を収めた。決めたのは丸佳浩外野手(24)。0‐0の九回1死三塁、難敵メッセンジャーから中犠飛を放ち、今季5度目のサヨナラ勝ち。8・6、広島では55年ぶりの歴史的勝利で3位タイに浮上した。
8・6、勝利を願う広島ファンの思いをバットに乗せた。難敵メッセンジャーに封じられ迎えた0‐0の九回。1死三塁のワンチャンスで若武者・丸が決めた。
6球目のフォークを打ち一塁線へ際どいゴロはファウル。敵将・和田監督が抗議の間、野村監督から「あの球(フォーク)に付いて行けたんだから大丈夫。余裕を持て」と助言を受けた。これで打席は楽になった。7球目、150キロ高め直球を捉えると、打球はセンターへ高々と上がった。
文句なしの犠飛。三走・ルイスは楽々と生還した。自身今季2度目のサヨナラの歓喜。チームメートからのウオーター・シャワーを丸は心地よく浴びまくった。
「1、2、3打席と打ち取られていた。もちろん決めるつもりだった。メッセは良かったけど、流れが傾いてくれた」。ヒーローは、大仕事を満足げに振り返った。
広島の本拠地で8・6を戦うのは2年ぶり。勝利を飾るのは58年以来、55年ぶり。歴史的な1勝を今季5度目のサヨナラで飾った。
平日にもかかわらず、この日は大入り2万8415人。丸がお立ち台でナインの思いを代弁した。「皆さんの前で野球ができる幸せをかみしめることができた」。
ピースナイターとして行われた試合では歌手・吉川晃司が「イマジン」を独唱。その際には原爆に被爆したピアノが、平和への音色も奏でた。クラシックが趣味で特にピアノ協奏曲がお気に入りの丸にとっても胸に染みた。「あのピアノは感慨深いというか、そういうこともあるんだ、と思った」。
入団6年目。「カープは広島そのもの。コンビニにカープグッズが売ってるのは広島くらい」と言う。息子はまだ0歳だが「原爆資料館に連れて行く。そいうことは肝に銘じさせないと」と、平和の大事さを教えていくつもりだ。
連勝で借金を9に減らし、3位タイに浮上。特別な日の勝利をかみしめ、鯉戦士が悲願CS切符をつかみ取る。