中村恭、好投も…コイ延長十一回惜敗
「広島0-1阪神」(8日、マツダ)
2度の満塁を逃すなど拙攻が響き、野村鯉が延長十一回で競り負けた。悔しい敗戦となったが、投手陣は踏ん張った。先発の中村恭平投手(24)は、6回0/3を2安打5三振無失点。6月3日のオリックス戦(ほっと神戸)以来となる1軍マウンドで、プロ3年目の左腕が今後に大きな期待を抱かせた。
悔しい惜敗だった。延長11回の死闘に競り負けた野村鯉。08年9月以来、5年ぶりの4カード連続の勝ち越しを逃した。チームにとっては痛い1敗であるのは間違いないが、今後に向け、明るい光はあった。この日1軍に再昇格し、熱投を見せた中村恭だ。
立ち上がりのピンチを切り抜け、波に乗った。一回、先頭の今成への四球から1死二塁とされたが、鳥谷をスライダーで見逃し三振、マートンを146キロ直球で二ゴロに仕留め、無失点。最速150キロ直球に、スライダーとカーブを交えた緩急自在の投球で、阪神の打線を翻弄(ほんろう)した。
しかし六回の投球中に股関節がつりだすアクシデントに見舞われた。体のバランスが崩れ、その結果、七回は思うように投げられず、途中降板。それでもローテの谷間を埋める働きは見せた。
「最初はやばかったけど、バランスを意識したらよくなった。変化球でカウントも取れていたのでボールになってもいいやと思って、思い切り腕を振った」
6月3日のオリックス戦以来の登板だったが、首脳陣の期待を上回る粘り強い投球だった。野村監督は「いい投球をしてくれた。先発としての役割は果たした。七回に疲れが出たところで代えたが、合格点を与えられる」と評価した。
今季は4月28日の中日戦(マツダ)でプロ初勝利を挙げたが、その後は制球難の悪癖が顔を出し、6月に2軍に降格した。「このままでいいのか」と不安に陥ったが、2軍のコーチ陣と話し合い、「今のままで頑張ろう」と再確認。気持ちを切り替え、再び1軍のマウンドを目指してきた。
待望の先発左腕が戦力になったことは、チームにとって大きい。現在の先発陣は前田健、バリントン、大竹、野村、中崎と右投手ばかり。「結果を意識してもよくないので、ダメもとで切り替えていく」。し烈な3位争いを制するためにも、中村恭の力は必要だ。