野村祐が逆転呼び7勝!鯉3位守った
「DeNA2‐5広島」(16日、横浜)
広島の野村祐輔投手(24)が7回2失点で7勝目をマークした。三回に2者連続本塁打を浴びたが、それ以外はほぼ完璧な投球を披露。新人王に輝いた昨季のような安定力を発揮し、強打のDeNA打線を抑えた。チームも3位の座を死守。悲願のCS進出へ、負けられない戦いが続く。
自分の役割は果たした。最後までマウンドに立つことはできなかったが、勝利の瞬間を見届けると“祐輔スマイル”が広がった。「今日は野手の人たちに守ってもらった。チームに感謝ですし、リリーフの人たちにも感謝です」。今季7つ目の白星の余韻に浸った。
試合の流れにのまれてしまった。一回から攻撃陣が何度も好機をつくるも、得点が入らない展開。一回、二回と無難な立ち上がりを見せた野村だったが、簡単に失点を与えられない緊張感が漂った。そして三回、魔が差したように、2死から梶谷、モーガンに2者連続本塁打を浴びた。
突発的な出来事に、マウンド上でぼう然とした表情を浮かべた。「あの2本が失投になってしまった。うまく打たれた」。今季前半戦ならば、ここから一気に打ち込まれ、KOされたが、今は違う。四回から気持ちを切り替えると、隙のない投球で凡打の山を築いた。
八回の打席で代打を送られ、交代した。結局108球を投げ、7回を5安打、2失点。1学年下のDeNAの先発・三嶋とは、東京六大学野球リーグ戦で投げ合ったことのあるライバルだけに「向こうよりも先に(マウンドを)降りたくなかった」と、満足そうに振り返った。
野村にとって、8月をどう乗り切るかが大きな課題だ。昨年は7月まで7勝4敗と勝ち星を伸ばしたが、8月からは2勝7敗と失速。「去年のことは考えるけど、去年のことは去年のこと。体の状態だったり、いろんな面で違うので」。暑さなど要因はあるかもしれないが、「気にしない」と力強く言い切り、「前半戦で足を引っ張ったので、後半戦でどうにかチームの勝ちに貢献する投球ができたら」と自らを奮い立たせた。
安定した投球に野村監督も「彼の持ち味である粘り強い投球ができていた。球宴後は試合を壊すこともないしね」とうれしそうに笑った。CS争いはこれからが本番。昨季の新人王右腕が、その夢へフル回転する。