デニム鯉“天敵ライアン”に雪辱の爆勝

 「広島9‐2ヤクルト」(24日、マツダ)

 ついに小川を“六度目の正直”で撃沈した。天敵を見事に仕留めたのは、頼れる広島の4番、キラ・カアイフエ内野手(29)だ。1点を追う一回に同点後、右中間へ11号2ランを放ち、逆転に成功。これで火がついた鯉打線は小川から6点を奪い、3回KOした。チームは5季ぶりの4カード連続の勝ち越し。4位中日とのゲーム差も3・5に広げた。

 降りしきる雨とともに、一振りで天敵を吹っ飛ばした。一回、1死三塁。同点に追いつき、イケイケムードの中、4番のキラが打席に入った。つかまえたのは、小川が低めに投じた3球目のスライダーだった。快音を響かせた打球は、低空飛行で右中間へ一直線。そのまま失速することなく、スタンドに飛び込んだ。

 圧巻のパワーを見せつける11号2ラン。見事に逆転に成功した。「打球は低かったので入るとは。ただ捉えたので抜けるとは思ったよ」と満足そうに振り返った。

 この一撃で、鯉打線は勢いづいた。今度は三回の攻撃。2死後、キラがバットを折りながらも左前へ運び、チャンスメーク。そこから四球を挟み3連打を浴びせ、3点を追加。これまで5戦5敗の小川から6得点を奪い、初めてマウンドから引きずり降ろした。

 小川を苦手にしていた打線の中で、実はキラは問題なく対応していた。これまで小川に対し、9打数3安打、1本塁打。そしてこの日も2打数2安打、1本塁打と打ち、小川への対戦成績は11打数5安打で打率・455、2本塁打、5打点。「小川はいろいろな球種を投げてくるので、攻略するのが難しい投手」と敬意を表し、「数少ない失投を捉えた結果が、その数字になっているのではないか」とほほ笑んだ。

 もちろん小川を攻略したのはキラ以外の選手も頑張った成果だ。新井打撃コーチは「甘い球を打ちにいこうということ。何度も対戦して球筋も分かっていた。(攻略は)選手の力量」と分析。一回に無死一塁で、菊池が送りバントではなくバスターエンドランを成功させて好機を広げたように、選手と首脳陣が一体となって“小川攻略”に挑んだ結果だった。

 就任以来、初の4カード連続の勝ち越しを経験した野村監督は「去年の悔しさがあるし、それを選手がどれだけ出せるか。これを続けるようにしたい」と自らに言い聞かせた。4位中日とも3・5ゲーム差。夢のゴールへ、このまま突っ走る。

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