丸V弾で竜に2差 76打席ぶり快音じゃ
「阪神1‐2広島」(1日、甲子園)
広島・丸佳浩外野手(24)が同点の六回、左翼ポール直撃の勝ち越し14号ソロを放った。前夜は同点機で見逃し三振に倒れるなど、不振にもがいていたが豪快に脱出した。“CS前哨戦”カードに勝ち越し、3位死守。4位・中日とは2ゲーム差に広がり、3日からの本拠地対決へ弾みが付いた。
月が替わってツキも変わった。8月打率・198と苦しんだ丸が豪快な一発で大脱出だ。1‐1の六回、先頭打者。秋山の初球、外角の133キロを迷わず振り抜いた。
ライナー性の打球が左翼席へグングン伸び、そのままポールに直撃した。8月13日の阪神戦(京セラ)以来、17試合、76打席ぶりの14号ソロは勝ち越し弾になった。
「コースに逆らわず、打ち返せた。切れなくて良かった。自分のミートポイントでたたけた。これまでファウルになっていた球を1球で仕留められた」と久々の手応えを満足げに振り返った。
もがいていた。前夜は1‐2の五回、1死満塁で外角球に手が出ず見逃し三振。2三振を含む3打数無安打で打率は今季最低の・267まで降下した。野村監督に「丸は別人」と、先発落ちすら示唆される崖っぷちだった。
「強く振ろうとばかり考えて、体全体に力が入っていた」。この日の試合前練習で新井打撃コーチからもメンタル面を指摘された。「シンプルに考え、素早く振ること。力まない」と自らに言い聞かせ結果につなげた。
2‐1の八回1死では追い込まれながら、久保の厳しい外角球に反応し、中前へ運んだ。「最近は三振も多かった。追い込まれてから、食らい付けたのは良かった」。6試合ぶりマルチ安打で打率・270に上昇した。
「試合に出続けながら修正するのは難しい」と悩んだ日々。それでも「前の試合をあーだ、こーだ言っても仕方がない」と前だけを向いた。甲子園は千葉経大付時代、2度出場したが土は持ち帰らなかった。「2年の夏はまた来るぞ!って言って、3年の春は夏に来るからいらん!って。結局、戻れなかった」。今では笑い話だが、当時から筋金入りの前向き思考男は、その聖地で、本来の姿を取り戻した。
野村監督も「丸はこういう経験を踏まえ、大きくなって欲しい」と、一安心。“CS前哨戦”でカード勝ち越し。4位・中日とは2ゲーム差に広げた。3日から3位決戦。最高の弾みを付け、赤ヘルは本拠地に戻る。