マエケン12勝“投手3冠”射程圏
「広島2-0中日」(4日、マツダ)
広島・前田健太投手(25)が8回無失点の力投で竜を返り討ち。CS進出を争うライバルを3ゲーム差に突き放した。自身6連勝でハーラートップタイの12勝目を挙げ、リーグトップの防御率も1・92と目標の1点台に突入。昨季は大失速した勝負の9月、エースがスパートへの勢いを付けた。
CS進出へ、絶対に落とせぬ大勝負。前田健の気迫が竜をのみ込んだ。100球を超えながら続投した八回、2安打に四球で2死満塁のピンチを背負う。迎えた5番・平田を初球、148キロで一ゴロ。ベースカバーに走り、アウトをもぎ取ると、こん身のガッツポーズを繰り出した。
123球、8回5安打無失点。三回に1死満塁を天谷の好守備で救われ、四回から六回も走者を出しながら、耐えた。
「あんまり良くなかったけど、ピンチではそれなりに投げられた。もう少し制球ができれば」。それでも、CS争いのライバルに本塁だけは踏ませなかった。
昨季は8月に3位をキープしながら9月に大失速し4位。悪夢をぬぐい去るためにも、中日との直接対決初戦を制し、勢いを付けたかった。
2日の練習日には「そろそろCSに行かないとヤバイ。もう十何年(15年)もBクラスが続いている。行かないとまたイヤな流れは続く。1回行けば(チームは)変わる。去年の悔しさ、情けなさを持って戦う」と熱く語った。もう惜しいじゃ済まされない。口にすることで、自らの責任を明確にした。そして有言実行の竜倒で、3ゲーム差に突き放した。
ヤクルト・小川に並ぶリーグトップの12勝目。22イニング連続無失点で、防御率は1・92とついに1点台に突入し2冠。135奪三振は、阪神・メッセンジャーに3個差と“投手3冠”も射程圏だ。
「取れるタイトルは全部取る」と、もちろんタイトルの主役は譲らない。ただ、それ以上にCS進出だ。「自分と同じくらいの投手と比べて、CSに勝ったり優勝だったり、僕は一回も行っていない。うらやましい。タイトル取ったらうれしいけど、(日本)シリーズを見ていたらさみしい」と、本音を吐露する。
早穂夫人が10月に出産予定。「(子供が)生まれて、CSに行けばもっと頑張れる」。次戦は中5日登板も予定される。あと24試合、エースが歓喜の10月に導く。