エルドあぁ拙守…3位の野村鯉は正念場
「広島3‐8中日」(5日、マツダ)
広島は11安打を放ちながら12残塁の拙攻で、CS進出を争う4位中日に敗れた。今カードは1勝1敗、再び2ゲーム差に迫られた。ブラッド・エルドレッド内野手(33)が3安打1打点の活躍も、左翼では拙守。野村謙二郎監督(46)は、リスク承知で打撃優先の起用を強調した。残り23試合、強気に攻めて16年ぶりAクラスへ突っ走る。
マウンドの大竹はぼう然とするしかなかった。2‐2に追い付いた後、四回2死二、三塁、高橋周に左翼へ痛打された。左翼手・エルドレッドが追い付いたかに見え、ジャンプした。だが何と打球はグラブの上を抜けていった。勝ち越しを許す2点三塁打。これが決勝点となり連勝を逃した。
三回にも谷繁の左翼への先制2ランを見失い、守備位置を前後にフラフラと動いて場内の失笑を買った。つたない守備が守りのリズムに影響を与えたのは否めない。
それでも、打線優先の“もろ刃の剣”は織り込み済み。野村監督は「あれを捕ったらファインプレー。そのリスクを負って出している。それを言い出したら、だれも使えない。特に責めることないし、何とも思っていない」とキッパリ。「(高橋周の打球は)追い付くと思わなかった。ジャンプしたけど届かなかった。左打者が芯で捉えた打球だし、越されても仕方がない」とエルドレッドも言い切った。
打撃では二回の遊撃内野安打に始まり、2‐4の五回2死一、二塁ではフルカウントから大野のフォークに食らいつき、左前へ反撃打。拙守を取り返した。七回には左前打を追加し、今季初の猛打賞だ。
「いい感じで振れていた。甘い球を打つことができた。チームの勝ちにつながらなかったのが残念だった」と、手応え十分に話した。
打線は11安打を放ちながら12残塁で3得点。終盤にもリリーフが失点を重ね8失点。投打にかみ合わなかった。4位中日には再び2ゲーム差、5位DeNAにも3ゲーム差に迫られた。
残り23試合。上位にいるが、守りに入ってはやられる。「20試合少しとなり、もう(全試合)必勝態勢で行っている。今までやってきたことを変えることはないし、今の選手を信頼して適材適所で戦っていく」と指揮官。6日からはDeNAと横浜で3連戦。シーズン終盤まで、し烈な3位争いは避けられない。エルドレッドの起用しかり、リスクを背負っても、攻めまくって、16年ぶりAクラスをつかみ切る考えだ。