キラ不振脱出へ野村監督が直接指導
不振にあえぐ広島のキラ・カアイフエ内野手(29)が9日、休日返上で打撃練習を行った。神宮室内練習場で、打撃投手を務める野村謙二郎監督(46)の球を打ち込み、フォームをチェック。最近の出場11試合で本塁打が出ていない主砲は、来日初の休日練習でリフレッシュしたもようだ。10日からのヤクルト戦(神宮)で再び自慢のパワーを爆発させる。
静まり返った神宮室内練習場に、打球音が響いた。汗だくになって投げる野村監督の球を、キラが打ち返す。全体練習が休養日のこの日、まわりに他の選手は誰もいない2人だけの空間。CS進出に向け、不振からの脱出を願う指揮官に、もがき苦しむ主砲は約30分間、必死にバットを振り続けた。
何度も打撃フォームをチェックした。10分ほど打ち続けた後、一度中断し、打席の後方からiPadで録画した打撃を見直し、確認。そして再び打席に戻り、フリー打撃を再開した。「前で、前で」と打つポイントを前方にするように声を掛ける野村監督。その要望に応え、キラが鋭い打球を右方向に連発した。
野村監督の提案で行われた休日練習だった。「休日だったけど、モヤモヤした部分を取り除ければと思ってね。打ってもらわないといけない選手だから。カントリー(エルドレッド)が勝利に貢献する働きをしているし、キラもそろってくれればね」。勝利のためには必要不可欠な選手だけに、心から復調を願った。
キラの不調がチームの成績に響いている。8月24日のヤクルト戦(マツダ)で小川から11号を放った後、快音が消えているが、その間、チームも6勝6敗。それまで4カード連続の勝ち越しをしていた勢いが止まった。
不振の原因は何なのか。野村監督は「フリー打撃の状態自体は悪くはない。だが試合では配球を考えすぎて、バットが出なくなっているのではないかと思う」と感じている。「技術的なものよりも、何かきっかけがあれば調子が戻ってくるはず」。もっと積極的な打撃ができれば、来日直後に見せた迫力ある打撃が復活すると信じている。
もちろん、キラ自身も現在の状態を自覚している。「今はいい状態ではない。調子の波の中では一番下だと思う。何とか真ん中ぐらいには持って行きたい。チームの中で自分が何をすべきかは、分かっている」。残り20試合。悲願のCS進出のためにも、キラが復活することを祈るしかない。