マエケン熱投!38度高熱でも強行出場

 「巨人4-7広島」(21日、東京ド)

 まさに超人じゃ!広島・前田健太投手(25)が38度の高熱を押し、6回1安打無失点のG斬り。巨人の優勝を阻止し、自身最多タイ、ハーラー単独トップの15勝目を挙げた。鯉投では84年・大野豊以来の9連勝。チームは連勝で借金を2まで減らし、CSクリンチは「5」となった。

 巨人も超人には勝てなかった。前田健が38度の高熱を押してド根性の出陣。そして、あっぱれ6回1安打無失点に封じ、胴上げを阻止した。

 前日から体調不良の様子で「状態?あしたになってみないと…」と話していた。この日の試合前練習にも姿を現さずベンチ裏で静養。首脳陣は登板回避も検討した。だが「行くと言ってくれた」と野村監督。エースはフラフラの体にムチを打ち、白球を握った。

 初回は病人には全く見えなかった。長野、井野から三振を奪うなど3人斬り。だが二回、投ゴロを一塁へ悪送球すると、膝に手を付き、がっくり。五回にも先頭・高橋由に四球を出すと膝に手を付いた。明らかにいつもとは違うしぐさ。それでも最速147キロを計測し、予定の五回まで気力で無安打に抑えた。

 自身2度目のノーヒットノーランへの可能性が続投する結果になった。「『もう、しんどい』とは話していたが無安打だったし…」と指揮官。結局、六回先頭の立岡に初安打を浴び快挙は消え、この回を投げ切り、81球の“熱投”を終えた。

 降板後は、もう限界を通り越していた。試合中に都内の病院に直行。「へんとう炎」と診断された。そのまま宿舎に戻り、静養となった。次戦は中4日で26日の中日戦(ナゴヤドーム)が予定されていたが、登板は厳しい見込みとなった。

 監督は「皆さんは『さすが』と思って見ていたかもしれないけど、僕は『こいつ、すごいな』と思って見ていた」と、脱帽。後生まで語られる、まさに“マエケン伝説”の夜となった。

 これで球団では84年・大野豊以来の9連勝。ハーラー単独の15勝は10年以来、自身タイ。対巨人は自身今季3連勝となり、チームも同一シーズンでは、4年ぶりとなる4連勝を飾った。

 5月3日以来の借金は2となり、CSクリンチは5に減った。「下を見るより、上に食らいついていく」と言うマエケン。この熱投が、チームに最後のカツを与えたのは間違いない。

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