野村鯉屈辱の目前G胴上げ…倍返し誓う
「巨人2‐1広島」(22日、東京ド)
投打に及ばず、惜敗。巨人のリーグ連覇が決まった。広島・野村謙二郎監督(47)は、あえて敵将の胴上げに目もくれず、早々にベンチ裏へ引き揚げた。目の前で優勝を決められた悔しさは忘れない。東京ドームでのCSファイナルS。巨人にやり返すためにも、残り試合を勝ち抜き、CSファーストSを制して、挑戦権をつかみ取る。
敗戦が決まると野村監督は、巨人の胴上げが始まる前にベンチ裏に消えた。「マジック1で来てるわけだし、試合中には優勝が決まっていた」。赤ヘルはCS争いの真っただ中。敵の喜ぶ姿など見たくはなかった。
一回裏開始前に、阪神の敗戦がスコアボードで伝えられた。優勝が決定し、歓喜に包まれる東京ドーム。勝って祝いたい巨人を、指揮官は執念でつぶしにかかった。
先発・久本を3回1失点で降板させると、次々にリリーフ陣をつぎ込んだ。1‐1の四回、今村が2四球でピンチを拡大し、勝ち越し点を許したが、最少失点で何とか切り抜けた。今井、中田も0封リレーでつないだ。八回、5番手には勝ちパターンの永川勝を投入し、望みをつないだ。
だが菅野を攻略しきれず、九回も1点が遠かった。「勝ちに行った。ローテの谷間ということで継投は計算に入れていた。今村は投球になっていなかった。今は(調子の)改善とかじゃなく、1試合ずつ勝っていかないと」と、語気を強めた。
攻撃では三回、菊池の適時打で追い付くと、1‐1の四回に先頭・エルドレッドが二塁打。指揮官は強攻策を取ったが、裏目に出る。松山、梵、木村と後続が断たれた。
「たらればになるけど、連戦が続く中で、あそこは打って得点したかった。采配と言われればそれまで」。唯一の勝ち越し機を逃したことを悔やんだ。
CSファイナルSで巨人にやり返すチャンスは十分ある。それでも、指揮官は「今は先のことは考えない。(次カードの)中日もある。僕らは先のことを考えず、1戦1戦」と、前を向いた。
ナインも同じだ。丸が「相手にやり返すとかじゃなく、僕らがCSをきっちり決めないと」と言えば、松山も「自分に悔しい。頑張るだけ」と、歯を食いしばった。
中日が敗れ、CSクリンチは4に減った。残り9試合、2位・阪神とは4・5ゲーム差と、まだ本拠地CSの可能性も残す。まずは“倍返し”への挑戦切符を全力でつかみ取る。