広島16年ぶりAクラスで初CS進出!

 「中日0‐2広島」(25日、ナゴド)

 ついに悲願達成じゃ!広島が16年ぶりのAクラス入りを確定させ、初のCS出場を決めた。試合は投手戦となったが、八回に放ったブラッド・エルドレッド内野手(33)の決勝2ランで4位の中日に引導を渡した。野村謙二郎監督(47)は就任4年目にして“万年Bクラス”のチームを見事にAクラスへ導いた。セは優勝した巨人、阪神とCS出場チームが出そろい、10月12日からのファーストステージは阪神と広島が対戦する。

 重くのしかかった扉が、ついに開いた。九回2死一塁から山崎の放った飛球が梵のグラブに収まった瞬間、真っ赤に染まった左翼席から大歓声がわき起こり、紙テープが舞った。97年以来、16年ぶりのAクラス。そして初のCS出場。広島に新たな歴史が刻まれた。

 会心の勝利で決めた。八回2死から梵が四球でつなぎ、エルドレッドの一発で決めた内容に「去年できなかった攻撃ができた」と野村監督はほほ笑むと、「負けられない試合を勝ち抜けた。選手は肌で感じたと思う」と満足そうに振り返った。

 指揮官が今季のポイントに挙げた日がある。それは9月9日、前日に横浜でのDeNA戦を終え、翌日から神宮でのヤクルト戦を控えていた休養日だ。この日は神宮外苑のグラウンドで、先発予定の前田健、大竹、中村恭と、不調のキラらが練習。そこに同行していた野村監督はひらめいた。

 ラストスパートをかけるには今しかない‐。4位タイの中日、DeNAとは2ゲーム差。一気に引き離すために、前田健、バリントン、大竹、野村の4本柱をフル稼働させるようにローテを再編することを決断した。ヤクルトとの3戦目の先発に野村を前倒しして起用し、次カードの巨人戦に今季初の中4日で前田健を投入。これが的中し、4年ぶりの7連勝。「あそこが一つの分岐点だった」。9月9日の決断がCS出場を引き寄せた。

 野村監督にとって紆余(うよ)曲折の4年間だった。97年の3位以降、Bクラスに低迷したチームの再建を担って10年に就任したが、1、2年目と連続5位。輝かしい現役時代のようにはいかない現実にぶつかった。

 その2年目のオフ、松田オーナーに「辞めたい」と弱音を吐いた。すると松田オーナーから「私は球団の社員と直接話をするようにしている。監督も選手の目線まで下りて話をしたらどうだ」と言葉を掛けられた。

 “監督”という肩書に縛られていたが、その言葉で気が楽になったのか、明るく選手と接するようになった。そして迎えた3年目は堂林、菊池ら若手を積極的に使い、9月上旬まで3位争いの主役を演じた。しかし大失速で4位。一進一退の戦いの連続で野村監督は体調を崩し、通院することもあった。それでも自らの体にむちを打ち続け、4年目の今年、CS出場に導いた。

 順位は未定だが、10月12日から始まる阪神とのCSファーストSへ進む。「今は素直に喜びたい」と静かに語った野村監督。強さを増してきた鯉軍団が、次なる目標に突き進む。

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