前田智爆笑予告!最後はファウルフライ
今季限りで現役引退を表明した前田智徳外野手(42)が1日、24年間の現役最後の一打を「ファウルフライ」と予告した。引退試合となる3日の中日戦で打席に立つ予定だが、「ゴロで走るのは避けたい」と“前田節”全開。50分間も爆笑トークを繰り広げた。この日はマツダスタジアムでの全体練習に参加し、フリー打撃などを行った。2日の阪神戦で、久々に本拠地ファンに姿を見せる。
周囲が凍りつくような緊張感は、もう薄れていた。寡黙な職人、ラスト侍の異名を取った前田智。ランニング、フリー打撃などで久々の本拠地での練習を終えると、冗舌に語った。
「最後の最後まで肩身の狭い思いです。最後まで恥をかくのか。足も手も悪い。球が見えない。バットの反応も悪い。あと1回で終わりにしたい。試合がワンサイドになってくれれば」
2日の阪神戦は、引退発表後、初の本拠地での試合。緒方打撃コーチからは出場を打診されたが「丁重にお断りしました。まだ(チームの勝率)5割、2位もある」。3日の引退試合で代打1打席だけを切望した。
相手の中日には「無難にやってくれ。俺もそれなりにやるから」と前田智流の気遣い。さらに「ゴロを打って走るのは避けたい。できれば内野フライ。できればファウルフライ。見といて下さい。あさっては(バットの)ヘッドが下がって、力負けしますから」と予告した。
両アキレスけん、太もも、ふくらはぎと度重なる故障を乗り越えてきた。しかし4月23日のヤクルト戦(神宮)で死球を受け、左手首を骨折したことが致命傷になった。95年に右アキレスけんを断裂したのも神宮。「明治神宮には悪いけど、神宮は僕には方角が悪い。あっけないもんですよ」と、淡々と振り返った。
50分間の独演会で周囲を笑わせ続けた。だが後輩への助言となれば、一転、真剣な表情になった。「嫌なイメージの打席を残さないこと。ドツボにはまれば(復調に)時間がかかる。丸ちゃんは球宴の後、典型的だったね」と語った。
フリー打撃では「左手がしびれる」と、感覚は今も戻らない。「手に足に頭に心に、全部が折れました」と吹っ切れたように話した。「湿布にテーピングに僕が世界で一番使った野球選手でしょうね。もう湿布しなくていい。トレーナー費が来年からは減る。きょうはこれくらいにしときましょう」と締めた侍。花道を前に“舌好調”だ。