鯉に“暗雲”宮崎台風接近で調整に狂い

 広島・野村謙二郎監督(47)が5日、予定していたフェニックス・リーグ(7日開幕、宮崎)への1軍選手参加を取りやめる意向を明かした。12日からの阪神とのCSファーストS(甲子園)までの間、同リーグで実戦感覚を持続させる方針だったが、台風接近の影響で7日以降、宮崎が悪天候に見舞われることを危惧。マツダスタジアムでの練習に変更することを示唆した。また今季最終戦の5日・ヤクルト戦は雨天中止で、6日に順延された。

 今季最終戦のヤクルト戦の雨天中止が決定後、指揮官は頭を悩ませていた。当初はフェニックス・リーグに出場させるため、バリントンら1軍メンバー数人を6日に宮崎へ移動させる予定だった。だが6日に今季最終戦が順延で白紙。さらに来週の宮崎の天候が悪いことも明らかになり、7日に予定していた1軍本隊の移動も白紙に戻した。

 12日から始まる阪神とのCSファーストSまで、宮崎で状態を維持したかった。ただ自然には勝てない。「向こう(宮崎)に行っても台風の影響で試合ができなかったらしょうがない。試合ができずに練習場所を探していろいろ移動し、選手が体調を崩すのも怖い」。野村監督は険しい表情で何度もため息をついた。

 ただ宮崎に行かない場合、それに代わる実戦練習が現時点では見つかっていない。2軍選手はすでにフェニックス・リーグに参加するため宮崎入り。そのためマツダスタジアムでの紅白戦は不可能だ。さらに他球団や地元の社会人やクラブチームとの練習試合についても模索中だが、「手は尽くすけど現状では非常に難しいと思う。シート打撃だけにするのか、方法を考えていく」と重苦しい空気を漂わせた。

 チームの状態がいいだけに、わずか5日間だけでも間隔を開けたくない。先発投手陣はもちろん、リリーフ陣も打者への感覚が一度リセットされるのは心配。打者もフリー打撃やシート打撃で練習はできるが、真剣勝負の生きた球を打てない日が続くのは不安なはずだ。

 そして野村監督が何よりも恐れているのが、“気持ち”の問題だ。「選手は初のCSということで気持ちが切れることはないと思う」と信じながらも、「モチベーションを維持させたいし、ベストコンディションにするのが自分の仕事」と力強く語った。

 初のCS出場だけに、すべてが手探り状態だ。ただこれはCSに進んだ球団にしかできない悩み。何とか目の前の難問をクリアし、阪神との大一番に臨むしかない。

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