マエケンやり返せ!初戦G倒あと一歩…
「セCSファイナルS・第1戦、巨人3‐2広島」(16日、東京ド)
第1戦が行われ、CS初出場ながらレギュラーシーズン3位から勝ち上がった広島が、リーグ優勝の巨人に無念の逆転負けを喫した。1勝のアドバンテージのある巨人が先勝で2勝となった。広島は絶対に負けられない第2戦を、前田健太投手(25)に託す。頼れるエースが、必ずやり返す。
喜びも一瞬だった。九回2死一、二塁で菊池の打球は三遊間へ。坂本に飛び込んで捕球されたが、内野安打で満塁…左翼席の鯉党から大歓声がわき起こった。しかし、二塁走者の赤松が三塁をオーバーランし、帰塁できずタッチアウト。その光景を野村監督は信じられない表情で見届け、ベンチを立ち上がった。
何とも後味の悪い幕切れだった。「飛び込んで取られたから、しょうがないけど…」。同点どころか、逆転まで可能性が広がるプレーだっただけに悔やみきれない様子だった。
これ以上ない試合展開だった。二回に村田の失策で2点を先制。自慢の強力投手陣で、このまま逃げ切る態勢はつくった。だが、巨人打線の重圧なのか、大竹も、横山も四球をきっかけに失点。指揮官は「今年は競った試合を落とすことが多かったので、今日は勝ちたかった。投手陣が守りに入ってしまった。もっと大胆に行って欲しかったね」と唇をかんだ。
それでも決して悲観する敗戦ではない。最後まで巨人の強力救援陣に抵抗し、あと一歩まで追い詰めた。野村監督は「最後の粘りはよかった」と振り返り、「(九回に)岩本が(カウント)3‐0から行って振れるところを見せてくれた。勇気のある人、開き直れる人が出てきて欲しい」と訴えた。
巨人に1勝のアドバンテージがあるため、事実上0勝2敗。第2戦を落とせば王手をかけられる瀬戸際に立った野村鯉。その大事な一戦を前田健に託すことになった。
敗戦を見届けたエースは「勝ち負けとか関係なく、自分が投げる試合ではしっかり投げるだけ」と静かに語った。今季、何度も苦境からはい上がってきた鯉戦士。ここから必ず立て直し、奇跡を起こしてみせる。