野村監督、辞意から翻意 来季こそ日本S
広島の野村謙二郎監督(47)が19日、広島市内のホテルで松田元オーナー(62)と会談し、就任5年目となる来季も指揮を執ることが決まった。契約は1年。会談では、体調面などを理由に辞任を申し入れたが、松田オーナーの強い説得で翻意した。今季は16年ぶりのAクラス。初のCS出場へ導いた指揮官が気持ちを新たに、来季は日本シリーズ進出を目指す。
約1時間半の“トップ会談”を終え、表情はスッキリしていた。グレーのスーツに身をまとった野村監督は、報道陣に囲まれると松田オーナーとの話し合いの内容を語った。
「自分の気持ちは伝えた。伝えたけど、オーナーと話をしていて、それじゃいかんだろうと言われて。自分の中で4年やってきて、区切りを付けるという話をさせてもらった。その中でいろんな話を聞かせてもらって、来季もやらしていただく決断を下しました」
今回の会談には辞任する決意で臨んだ。前日18日、巨人に3連敗を喫したCSファイナルS後、「分からない」と来季の去就については明らかにしなかったが、実はその時点で今季の成績にかかわらず、監督の地位から退くことを決めていた。
その理由は体調面だ。監督という激務に加え、ファンの期待に応えないといけないという重圧。果たして来季も自分の体は大丈夫なのか。「正直あるのはあるし、それは伝えたが、とにかく吹っ切れたので。来季に向かって頑張っていくということに決まったし、前向きに切り替えてやりたい」。不安な思いを消し去り、指揮に専念することを自らに言い聞かせた。
手腕を高く評価していた松田オーナーは、胸をなで下ろした。野村監督の気持ちを翻意させようと、「いろんな話をした。体調面の話もした」と懸命に慰留したという。続投という結果には「満足だった」と頬を緩めた。
5年目の来季、野村監督のハードルは高い。「ファンの期待も今年の成績からというのが、ある程度ベースになると思う。そのへんのところをベースに、どんどんチーム力を上げるように考えていくだけ」。来年こそCSを突破し、日本シリーズへ。指揮官の挑戦は再び始まる。