大瀬良に双葉山の心得!恩師から金言

 広島の新人5選手が9日、広島県廿日市市の大野寮に入った。ドラフト1位の大瀬良大地投手(22)=九州共立大=は、前田健太や野村祐輔が入った“出世部屋”を与えられ、大学の仲里清監督(59)が「木鶏」と記した色紙を持参した。大横綱双葉山が目指した境地を理想型に、エースを目指す意気込みだ。

 寮の玄関に姿を見せた大瀬良の荷物には、「木鶏」と記された一枚の色紙があった。

 「仲里監督からドラフト前に教わった言葉です。周りに流されず芯を持ち、たくましくあってほしい。てんぐにならず、常に謙虚であれ、ということだと思う」と心に刻む。

 “相撲の神様”双葉山で有名な「木鶏」。強さを誇示せず、何事にも動じない、木彫りのような最強の闘鶏のたとえ。現在も破られていない69連勝を達成した翌日、39年1月場所4日目、安芸ノ海に敗れ70連勝を逃した際に「われいまだ木鶏たりえず」と、知人に電報を打ったことで知られる。

 大瀬良は「偉大なお相撲さんが大事にした言葉。どんなに活躍しても謙虚でありたい」と、改めて言葉の重みをかみしめた。その恩師・九共大の仲里監督が今春限りで勇退する。「4年間大事に育ててくれた。感謝の気持ちしかない。プロで活躍して恩返ししたい」と誓った。

 色紙とともに、ヤンキース、イチローの語録本3冊も持参した。「イチローさんは一言一句が他の人と違う。その意味を考えながら勉強したい」と話した。

 10日からは新人合同自主トレが始まる。昨年のドラフト後は、行事が重なって調整が遅れたが、3日から大学で練習を積み、この日も入寮後、キャッチボールとランニングを行った。「90%に近い。アピールも大事だけど、ケガをしないよう、飛ばしすぎずマイペースでやる」と冷静に、はやる気持ちに自らブレーキをかけた。

 “出世部屋”については「期待されているのが伝わってくる。少しでも早く前田さん、野村さんのような、カープの柱になれるよう頑張りたい」。初心を忘れずに、エースを目指す大瀬良が、いよいよプロでの第一歩を踏み出す。

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