広島は２７日、マツダスタジアム内で今年度の新グッズを発表した。一番の目玉は「鯉の勝負パンツ」。昨秋のドラフト会議で田村恵スカウト（３７）が１位指名抽選で３球団競合の末、大瀬良大地投手（２２）＝九州共立大＝を引き当てた際に着用していた赤いパンツをモチーフにした一品だ。「交渉権確定」の文字が記され、価格は２８００円。２００枚限定で２月１日から発売される。

　開運必至の一品は真っ赤なボクサーブリーフだ。右太もも付近には「交渉権確定」の文字がプリントされている。黄金新人・大瀬良と広島を結んだ“運命の赤いパンツ”が「鯉の勝負パンツ」として商品化された。

　昨年１０月２４日のドラフト会議。広島は１位で大瀬良を指名した。阪神とヤクルトも１位に指名。３球団が競合する中、阪神は和田監督、ヤクルトは小川監督が登壇した。広島は、球界では慣例がなかったが、担当スカウトにくじ引き役を任せる作戦を決行。九州地区担当の田村スカウトが抽選箱の前に立った。

　そして２番目にくじを引き、当たりくじをゲット。緊張と興奮で日焼けした顔は引きつっていたが、右手を上方に掲げ、控えめにガッツポーズしたシーンは記憶に新しい。

　当日、験を担いだ田村スカウトは、球団カラーである赤いパンツをはいていた。偶然だが、大瀬良も赤いパンツを着用していた。「ドラフト会議直後から話があった」と球団商品販売部の木村勇貴さんは言う。そこから強運グッズとして商品化の機運が高まり、とんとん拍子で計画が進んだ。価格は２８００円で２００枚限定。サイズはＭとＬ。２月１日の発売が決まった。

　例年、広島は趣向を凝らしたグッズを製作してきた。０７年にはふんどしの「赤ふん」、０９年には足袋を発表。今回の新商品について田村スカウトは「僕のグッズではないので、何とも言えません。でも赤は内面から力が湧いてくるものなので、みなさんにも勝負をかけたいときに重宝してほしい」と話した。

　１５日の第１回スカウト会議で、今年もドラフトで競合した場合は担当スカウトがくじ引き役を務めるプランが持ち上がった。球団首脳は「スカウトに何枚か渡して当日（今年のドラフト会議）はかせよう」とニヤリ。商品としてだけでなく、“社内活用”でも夢をもう一度‐の構えだ。