大瀬良“野村構想”で開幕ローテ入り
「広島春季キャンプ」(19日、日南)
日南キャンプを打ち上げた広島のドラフト1位・大瀬良大地投手(22)=九州共立大=が開幕ローテの構想に入っていることが、わかった。野村謙二郎監督(47)が示唆したもの。即戦力として注目を集める右腕は、その片りんを随所に披露。首脳陣のハートを即座に射止めた。前田、バリントン、野村の3本柱に続く4番手として期待される。
日南キャンプ最終日。投手陣を総括した野村監督は、開幕ローテについて「大瀬良まで4人は(名前が)出てくる」と、前田、バリントン、野村の3本柱に続き4番手に黄金新人の名前を挙げた。
大瀬良にとって最初の目標だった開幕ローテ入り。野村監督の言葉に喜びをかみしめながら、表情を引き締めた。「うれしい。でも僕としてはまだまだだと思うので一生懸命やって結果を残したい」と唇を結んだ。
自ら勝ち取ったローテ入りだ。11日、初めてプロの打者を相手に投げたフリー打撃では「6、7割の力」で打者をねじ伏せた。13日のシート打撃初登板でも快投。最速150キロの直球を軸に丸、菊池ら主力8人を1安打2三振に打ち取った。「あの投球を見せられたら当然」と畝投手兼分析コーチ。首脳陣の心をわしづかみにした。
充実した19日間だった。長年、弱肉強食の世界で戦う鯉戦士。その練習態度に大きな刺激を受けた。「横山さんとか永川勝さんとか、トレーニングを丁寧にしている。だからあの年までできる。これからの野球人生に生かしていきたい」。昨年の仮契約時に「山本昌さんのように息の長い投手になりたい」と語っていた。この世界で生き抜くためのすべを肌で感じ取った。
さらに休日には前田や野村と食事や風呂を共にした。「野村さんには1年間ローテを守るのは難しいと言われた。夏場はきついので対策も教えていただいた」。ローテを守る秘訣(ひけつ)も授かった。
22日にオープン戦“開幕投手”として阪神戦(コザしんきん)に実戦初登板する。この日は日南で最後のブルペン入り。91球を投げ調整した。「自分への評価や気持ちは変わらない。一生懸命やるだけ」。浮かれたそぶりは一切なし。挑戦者の気持ちを忘れず、ひたむきに右腕を振るう。