「広島春季キャンプ」（２６日、沖縄）

　広島のドラフト１位・大瀬良大地投手（２２）＝九州共立大＝が２６日、“マエケンスプリット”に着手した。落ちる球の習得を目指してきた右腕が、自らエース前田健太投手（２５）にスプリットの握りとリリースの指導を請い、早速ブルペン投球で試した。感触は上々で、今後は本格マスターを目指す考えを示した。

　キャッチボール開始直前のことだった。大瀬良が前田のもとに歩み寄る。ボールを中指と人さし指で挟む絶対エースの手元を凝視。“マエケンスプリット”を、伝授された瞬間だった。

　投手陣の大半はこの日、巨人との練習試合（沖縄セルラー）に帯同せず、コザしんきんスタジアムなどで居残り練習を行った。大瀬良は非公開だったブルペンで７５球を投じ、スプリットは１０球ほど試したという。

　「新しい握りと投げ方の確認です。最初の２球はすっぽ抜けたが、少しずついい落ち方になった。球速も上がったし、狙ったとおり縦に落ちた。今までのフォークも落ちないわけではないが、今日の方が直球の軌道から、いい落ち方をした」と手応えは上々だ。

　自主トレから落ちる球の習得を目指してきた。今キャンプでもブルペンや実戦で試してきたが、スピードが理想より遅く、ややスライダー気味の軌道で落ちることも不満だった。

　今キャンプでスプリットの本格導入に着手した前田は、２４日のシート打撃で多投。威力を発揮し、シーズンでも勝負球に用いる考えを示した。同じ先発投手として、お手本にはうってつけだった。

　大きく開いた中指と人さし指の内側に２本の縫い目があったものを、中指の内側と人さし指の外側に縫い目を置くよう変更。リリースの瞬間、人さし指により力を込める感覚で、理想に近づいた。

　大瀬良は一岡にもフォークの握りを尋ねるなど、どこまでもどん欲に「落ちる球を投げられるに越したことはない。できるだけ早く投げられるようにしたい」と話す。

　２８日の韓国・ＫＩＡ戦に先発予定。直球とカットボールに続く新兵器の完全マスター。それは食事を共にするなど、公私で世話になっているマエケンの厚意に報いることにもなる。