大瀬良「脱力投法」春季C&卒論で確信
広島ドラフト1位の大瀬良大地投手(22)=九州共立大=が4日、今後の登板テーマに「脱力」を掲げた。春季キャンプでの実戦登板、そして学生時代の公式戦全登板をまとめた大学の卒業論文を踏まえ「7、8割の力で投げる感覚を意識したい」と述べた。この日は休日返上で汗を流し、5日からの1軍全体練習再開に備えた。
大野練習場には、笑顔を交えながらキャッチボールに取り組む大瀬良の姿があった。直球、スライダー、カットボール、習得を目指すスプリットの握りで次々に投げ込んだ。
3日に沖縄キャンプが終了し、広島に戻った今、右腕が掲げるテーマは「脱力」だ。「7、8割の力で投げる感覚を意識したい。スピードは求めない。キレを良くして抑えたい」。キャッチボールの相手を務めたドラフト2位・九里は「抜いて投げた方が、真っすぐが伸びてきた」と、その狙いを体感した。
課題克服に向け「自分に脱力、脱力…と言い聞かせている」と明かした大瀬良。この日は休日だったが、新人5選手は3日に都内で新人選手研修会に出席していたため「昨日は動いていないから、少しでも体を動かしたかった」と、汗を流した。
最速153キロを誇るが、スポーツ学部の卒業論文「真のエースの条件とは?大瀬良大地の4年間」では球速が結果に結びつかない結論が出た。公式戦全登板を分析したところ、球速別では142、143キロの被打率が最も低かった。「スピードよりキレ」の志向が自分の中で高まった。
先発した2月28日の韓国・KIAとの練習試合(コザしんきん)では、二回に直球を打ち込まれて4点を奪われ、3回4失点。「二回は力み過ぎた。一、三回は力まなかった。三回は直球で空振りも取れた」。脱力への意識がさらに強まった。
直球が武器と自負し、気迫を前面に出す投球スタイル。「大学では力みまくっていた。そうしないと気持ち悪かった」と振り返る。
この日午後には2軍の大野寮から、マツダスタジアム近くの1軍寮に引っ越した黄金右腕。「大野に帰らないようにしたい」と、気を引き締めた。心は熱くとも投球は冷静に‐。脱力は進化のカギになる。