マエケン 打者一巡6失点も心配無用

 「オープン戦、広島8-6ヤクルト」(9日、マツダ)

 広島の前田健太投手(25)が今オープン戦に初登板初先発し、3回7安打6失点と打ち込まれた。二回は打者一巡の猛攻を受け一挙6失点。それでも新球スプリットを試しながら、三回は3者凡退。開幕投手が内定している28日・中日戦(ナゴヤドーム)に向け、エースは心配無用を強調した。打線は15安打8得点と爆発し、逆転でオープン戦初勝利を挙げた。

 本拠地で今年初のオープン戦、1万7097人の観衆が目を疑った。前田は二回、1死満塁から西浦に押し出し四球。さらに田中浩、川端、ミレッジに適時打を許した。この回、打者10人に6安打1四球6失点。絶対エースが大炎上した。

 最速147キロの直球はシュート回転が目立ち、新球スプリットはファウルで粘られた。雄平には流し打ちで左前打されるなど、決め球としての効果はなかった。押し出しの際にもベンチに引きあげる時も、苦笑いを浮かべるしかなかった。

 それでも動揺はなかった。「細かいコントロールがまだまだ。これから普通にやっていくだけです。オープン戦はいつも打たれるので、全部ゼロの方が気持ち悪い。不安はないです」とサラリ。三回は3者凡退と修正してみせた。

 オープン戦初登板の苦戦は珍しくない。11年3月2日・中日戦(マツダ)では初回に3四球を許し、2回2安打3失点で敗戦投手になった。12年3月4日・中日戦(ナゴヤドーム)は2回1安打無失点も、初回に第1球を投じた際に左足を滑らせマウンドで転倒。予定より1イニング早く降板した。

 この日は登板前に掲げていたテーマ通り、追い込んでからは代名詞スライダーを封印。スプリットや直球を多投した。「スプリットはまだ自分のボールにできていない。感覚が良くなかった。時間はかかるが試しながらやっていく」と完全マスターに意欲。直球も「状態が上がれば問題ない」とうなずいた。

 野村監督も「あれだけ実績があるんだから心配していない。キャンプで試してきたことをしっかりやってくれれば」と、問題にはしなかった。

 次回登板に向け「普通通りに試合感覚を取り戻せれば」と語った前田。28日の開幕に向け、どこまでも自然体。貫禄たっぷりに歩を進める。

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