マエケン“宝刀スライダー”解禁で快投
「オープン戦、ロッテ1‐3広島」(15日、QVC)
宝刀を抜いた。広島・前田健太投手(25)が15日、オープン戦・ロッテ戦(QVC)に先発登板。今年初めて決め球に得意のスライダーを解禁し、5回を5安打1失点に抑えた。開幕投手が決定している28日・中日戦(ナゴヤドーム)へ、順調な仕上がりをアピールした。一方、習得を目指していた新球スプリットは今後封印することに含みを持たせた。
軽やかな足取りでマウンドを降りた。前田は五回、クルーズをスライダーで、金沢をチェンジアップで2者連続空振り三振。岡田は直球で投ゴロに仕留め3人で片付けた。「スライダーの感覚を思い出すことを考えた。内容も一番良かった。いい形で終われた」。オープン戦2度目の登板を、納得の表情で振り返った。
宝刀スライダーのさびを取ることが、大きなテーマであった。三回2死二塁で根元には甘いスライダーを適時打され失点も、直後の井口はスライダーで中飛に打ち取った。「追い込んでからのスライダーが課題だった。いい球も、悪い球もあったけど、五回の三振2つは狙って取れた」。残した言葉に、確かな手応えがにじんだ。
今年初実戦だった3日の紅白戦(コザしんきん)はスライダーを一球も使わず、2回7安打4失点。前回の9日・ヤクルト戦(マツダ)も、3回7安打6失点と炎上した。決め球にスライダーを封印。新球スプリットや直球で勝負を挑んだが、直球がシュート回転し、制球にも苦しんだ。調整段階とはいえ、2試合連続で打ち込まれていた。
それだけに本気モードで好投し「今回は制限なく投げた。(前回と)同じ結果じゃ意味がなかった。ほっとした」と、安どの表情を浮かべた。最速147キロだった直球もシュート回転が修正され、前回と違い内角にもしっかり投げ込めた。初回1死一、二塁では井上のライナーを反応良く好捕。一塁走者が飛び出し併殺でしのぐなど、持ち味のフィールディングの良さも発揮した。
開幕投手に指名している野村監督は「直球があってこその変化球。しっかり修正できている。順調だし(状態が)上がってきている」と信頼を寄せた。宝刀のスライダー、そして直球を研ぎ直した前田。次は21日・ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に先発、28日の開幕戦を迎える。「5回以上投げて、できるだけ点を取られないようにしたい」。シーズンに弾みをつける快投を誓った。