鯉に新星!九里輝いたルーキー一番星
「中日1-6広島」(29日、ナゴド)
広島のドラフト2位・九里亜蓮投手(22)=亜大=が、プロ初先発初勝利を挙げた。多彩な変化球と低めへの制球が光り、6回5安打1失点と好投。内野ゴロ13個で、2併殺を含め15個のアウトを奪った。今年の新人一番星で、チームに09年以来5年ぶりの開幕連勝と、12年8月6日以来600日ぶりの貯金2をもたらした。
九里の端正な顔立ちに笑みが広がった。ヒーローインタビューで自己採点を求められると、内野席のファンが「100点!!」と絶叫。厳しく己を評価する右腕も「じゃあ100点で」と笑った。広島では11年の福井以来となる初先発初勝利。結果でファンの心をわしづかみにした。
強心臓の持ち主だ。プロ初マウンドを「本当に気持ちよかった」と余裕たっぷり。カット、スライダー、ツーシーム、チェンジアップ、カーブを駆使。二回無死一塁では和田をツーシームで三ゴロ、五回1死一塁では谷繁を直球で二ゴロ併殺打に仕留めた。22日のソフトバンクとのオープン戦で4回8失点とKOされ、ノーワインドアップから常時セットポジションに変えて制球を修正した。
七回に代打を送られるまで、実に13個の内野ゴロを奪った。球数68で、テンポ良くリズムをつくった。「自分の持ち味をしっかり出せた。緊張?全然していないです。自分の投球ができました」と、笑顔で胸を張った。
野村監督は「ゴロアウトが多く、キャンプで良かったものをそのまま出してくれた。100点です。これを自信にしてほしい。次も期待しています」と、褒めちぎった。
己貫いた
岡山理大付で甲子園出場はなく、亜大で台頭。激戦の東都大学リーグでもまれ「勝たないと意味がない」を信条に「詰まらせた時が一番うれしい」と、低めに投球を集めるスタイルを完成。この日空振りでストライクを取ったのは1回だけでも、己を貫き相手を手玉に取った。
ドラフト1位・大瀬良の陰に隠れていた右腕が、今季の新人初めての勝利投手になった。それでも「まだ一つ勝っただけ。1年間通して結果を出さないといけない」と気を引き締めた。喜びに浸る時間はわずか。目標の10勝へ、視線は次に向いていた。