大瀬良プロ初登板星あと2人で消えた
「広島4-3ヤクルト」(2日、マツダ)
広島のドラフト1位・大瀬良大地投手(22)=九州共立大=がプロ初先発に臨み、7回5安打2失点と好投した。勝ち投手の権利を得て降板したが、九回に守護神ミコライオが同点に追いつかれ試合は延長戦に突入。プロ初勝利はお預けになったが、新人王最有力候補の片りんは見せた。
大瀬良のプロ初勝利が寸前で逃げていった。1点リードの九回、守護神ミコライオが同点に追いつかれ延長戦に突入。それでも新人らしく、ベンチから懸命に声を出し続けた。
堂々の内容だった。7回5安打2失点。最速148キロの直球を軸に、スライダーやカットボール、カーブを活用した。2点の援護を受け、内野の梵、田中、菊池が好守を続出。「オープン戦と比べて真っすぐ、変化球ともに感覚が良かった。野手の守りにも助けていただいて、自分も粘り強く投げることができて良かった」と、手応えを口にした。
プロの洗礼も受けた。2点リードの六回2死一塁、バレンティンに同点2号2ランを許した。1‐1から真ん中に入った142キロの投球を、右中間席に放り込まれた。唇をかみしめ、グラブを振り下ろして悔しさをあらわにした。「甘く入ってはいけないと思いながら、甘く入ってしまった」と猛省した。
自身に代打を送られた七回の攻撃では、1死満塁からキラの二ゴロの間に中東が生還。ベンチから飛び上がって両手を突き上げ、ガッツポーズを繰り返し雄たけびを上げた。
この日は故郷長崎から、母親のさつみさんら親族、そして知人を合わせて30人が応援に駆けつけた。初勝利こそかなわなかったが、立派に成長した姿を届けることはできた。
野球に対する情熱が並外れているのが大瀬良だ。度々食事に連れて行き、かわいがっていた前田が「本当に真面目。大学の時は休日に何をしていたの、と尋ねて、練習していました、と返されたのは初めて」と舌を巻くほどだ。
歓喜と落胆。手応えと反省。ジェットコースターのように揺れ動いたデビュー戦だったが、今後の糧となったことは間違いない。