マエケン抹消即決せず G戦見据え先送り
右肘の張りを訴えた広島の前田健太投手(26)の処遇が13日、先送りされる可能性が出てきた。12日の中日戦(マツダ)で違和感を感じ、5回で緊急降板。中日(6)戦が雨天中止となったこの日、首脳陣と話し合い、出場選手登録を抹消するか否かは即決せずに、患部の回復具合を見ながら数日かけて判断することを確認した。
ピリピリと緊迫した空気が流れた。硬い表情で前田がロッカー室から姿を現し、待ち構える報道陣を避けるように足早に歩を進めると、タクシーに素早く乗車。そして自ら窓ガラスを開け、口を開いた。
「(右肘の状態は)まだ分からない。何もしていないので。頑張って治します」
自分へのいら立ちなのか、多くを語りたくない口ぶりだった。突然の右肘の違和感から一夜明けたこの日は、電気治療などで患部をケア。しかし劇的に良化した雰囲気ではなかった。
昨年4月にも発症した右肘の張り。前回の「右上腕三頭筋筋膜炎」とは違い「右上腕三頭筋付着部炎」という診断だったが、痛めた箇所はほぼ同じ。昨年の二の舞いにならないように調整してきたが、再び襲った悪夢にショックを隠しきれない。
首脳陣もエースの早期回復を心から祈っている。前田と話し合った野村監督は「大きなけがではない。本人は『昨日より楽だ』と言っている」と軽症を強調。ただ今後については「今日明日様子を見ます。明日変わるかもしれないし」と慎重に見守るつもりだ。
炎症が消えるのは一般的には3、4日はかかるという。長引くことも考慮し、山内投手コーチは「中継ぎを入れるというのもある」と入れ替えの準備があることを説明。だが前田の登録抹消の可能性については「(抹消しない)可能性を求めるので、(抹消を決断する日が)ずれ込む可能性もある」と、即決せずに結論を先送りすることを示唆した。
首脳陣の思惑としては、25日からの巨人3連戦で前田を登板させたい意向がある。27日の3戦目に登板させたいのならば、登録抹消のリミットは17日。エースが奇跡の回復力を見せてくることを祈るしかない。