鯉猛追あと一歩…3カード連続初戦黒星
「ヤクルト4‐3広島」(6日、神宮)
最後まで何が起こるか分からないのが、今年の野村鯉だ。2点を追う九回、広島は石原の適時打で1点差とし、一打同点まで追い詰めたが、最後は堂林が三振。3試合連続の逆転勝利とはならなかった。これで3カード連続の初戦黒星。悔しい1敗となったが、切り替えて再び連勝を目指すだけだ。
これが首位を走るチームの底力だ。九回を迎え、許したリードは2点。だが、負けを覚悟する赤ヘル戦士はベンチには一人もいない。すると先頭のキラが、ナインを、そして三塁と左翼のスタンドを真っ赤に染めた鯉党を、勇気づける一打を放った。
ロマンからの打球は会心ではなかったが、詰まりながらも左翼線へ運ぶ二塁打。松山、田中が倒れ2死となっても、諦める者はいない。この土壇場で、打率1割台と低迷する石原が意地の中前適時打。「打者としても結果を出さないといけない」と強い気持ちで放った一打だ。
そして代打の中東も右前打でつなぎ、一、三塁。一打同点までこぎ着けた。打席には、この日2安打の堂林。しかし、結果は空振り三振。1点、届かなかった。
野村監督は無念の表情を浮かべながらも、「最後は粘っていいところは見せてくれた」とねぎらった。鯉党からも「謙二郎、気にすることないぞ!」と激励の声が飛んだ。
ただ惜敗でも負けは負けだ。これで3カード連続で初戦黒星。指揮官は「そんなしょっちゅうは勝てない。でも勝ちたい」と、悔しい気持ちを必死に押し殺した。
振り返ればクリーンアップのブレーキが痛かった。2点を追う四回には1死二塁から丸、エルドレッドが凡退。3点差となった五回は敵失、犠飛などで1点差まで迫り、なお2死満塁と一打逆転の好機で丸に回ったが、見逃しの三振。「僕があそこで(勢いを)止めてしまった」と唇をかんだ。
クラブハウスへ歩を進めながら、野村監督は自らに言い聞かせた。「逆転はできなかったけど、また明日やってくれるでしょう」。悔しさをバネに、鯉戦士が奮起してくれると信じている。