松山V打!堂林離脱でも野村鯉一丸星!
「広島3-2中日」(9日、マツダ)
広島・松山竜平外野手(28)が同点の七回、代打で貴重な勝ち越し適時打を放った。好調だった堂林翔太内野手(22)がこの日、右手薬指の骨折で登録抹消の危機を一振りで救った。少ない好機を生かして接戦を制したチームは、4カードぶりにカード初戦を勝ち、今季最多タイの貯金11に戻した。
こん身のスイングに導かれた打球が一、二塁間を抜けていった。七回1死一、三塁。松山は一塁上で手をたたき、小さくガッツポーズ。代打で決勝の勝ち越し適時打だ。「最高です。手応えは良かった。何とか勝ちたかった」。愛称のアンパンマンのごとくチームを救い、丸い顔に達成感が満ちていった。
祖父江が投じた初球のスライダーを空振り。「あれを振っていけたので、最後のスライダーにもついていけた。代打でもスタメンでも積極性をなくさないようにしている」と、胸を張った。
試合前、打撃好調だった堂林の離脱を知らされた。「最近の調子を見ると抜けるのは痛い。2軍も含めて力を合わせて、全員でカバーするしかない」と心に決めた。
球場を訪れた堂林には「焦らず戻ってこいよ」と声をかけた。「しっかり走り込んできます」と返答した後輩の姿に、気が引き締まった。
得点圏に走者が進んだのは四、七回のみ。いずれも得点に結びつけ、七回には代走、代打で5人を投入した野村監督は「堂林のアクシデントは痛いけれど、出た人が集中してくれた。競った試合をよく取ってくれた」とナインをたたえた。
松山は最近10試合で31打数13安打、2本塁打、8打点。打撃好調の要因は試合前の外野ノックにある。前後左右に打ち分けられ、汗びっしょり。「下半身が鍛えられ、ぶれずに打てている。あれが夏だったら死んでいますけど」と笑った。
2月の春季キャンプでは左太ももの裏を痛め離脱。開幕当初は調子が上がらなかったが、練習が実り調子が上がってきた。そんな男だからこそ、堂林への言葉にも説得力がある。プリンスの復帰まで、首位を走るチームを支える覚悟だ。