キラにびびっタカ!ビデオ判定で幻弾
「交流戦、ソフトバンク6-3広島」(20日、ヤフオク)
鯉打線が猛追も、あと一歩及ばなかった。広島は交流戦開幕で6点差を追いかける苦しい展開となったが、終盤に反撃。ジワジワと得点を重ね、八回にはキラ・カアイフエ内野手(30)のセンターへの大飛球が一度は本塁打と判定されたが、ビデオ判定で二塁打に覆り、そこで追撃の勢いが止まった。ただ最後まで諦めない粘り強い攻撃は、必ず次へつながるはずだ。
最後まで勝負を捨てない姿を見せた。6点を追う七回に小窪の適時打で2点を返し、反撃開始。そして八回、2死二塁で、キラが代わったばかりの左腕・森福の直球を捉えた。
打球はセンター方向へグングン伸びる。中堅・柳田の頭上をはるかに越え、大きく跳ねた。一塁塁審の山路の手が回り、本塁打の判定。2ランで2点差…かと思われたが、ソフトバンクの外野陣が本塁打ではないことを猛アピール。秋山監督もベンチを飛び出した。
すぐに審判団はビデオ判定を開始。しかしここから約10分間、沈黙の状態が続いた。あまりにも遅いビデオ判定に観客席からヤジが飛び交う中、下されたのは二塁打だった。
試合後、責任審判の橘高三塁塁審は「(長引いたのは)欲しいと思った映像が、なかなか出て来なかったから。(フェンス上方の)ラバーの一番奥に当たったと判断した」と説明。“幻弾”となったキラは「バックスクリーンのシートに当たったと思った。リプレーを見ていないので何ともいえない」と厳しい表情だった。
この覆った判定で得点が2点から1点に変わり、攻撃の勢いが止まってしまった。運が味方しなかったが、それにしても反撃が遅すぎた。0‐2の五回には1死二、三塁の好機をつくり、代打攻勢を掛けたが、中東が遊ゴロ、田中が三振に倒れて無得点。野村監督は「中東の打球はショートの正面。前進守備で打者にプレッシャーになったのかな。抜けていれば2点だったが」と唇をかみしめた。
やはり4年連続負け越し中の交流戦は鬼門なのか。だが野村監督の表情は暗くない。「0点で終わるより、小窪が打って、キラも左投手から打って点が入った。そんなに悲観はしていない」。今までとは手応えが違う。これから首位を走る底力を、鯉戦士が見せてくれるはずだ。