大瀬良0封も…鯉今季初サヨナラ負け
「交流戦、楽天3‐0広島」(31日、コボスタ)
黄金ルーキーの力投は報われなかった。広島のドラフト1位、大瀬良大地投手(22)=九州共立大=が6回を4安打、無失点に楽天を抑えながらも、味方打線の援護がなく、6勝目はお預け。チームは今季初のサヨナラ負けを喫した。ただ大瀬良自身は、4回KOを喫した前回のオリックス戦から見事に修正。次の登板へ期待できる投球だった。
ベンチの最前列で、ぼうぜんと立ち尽くした。九回、ジョーンズが快音を残した大飛球を、大瀬良は目で追い続けた。無情にもスタンドに吸い込まれた白球。しばらくその場から動けなかったが、サヨナラ弾を浴びた永川勝の姿が視界に入ると、ふと我に返り、ロッカー室へ姿を消した。
大瀬良自身は、持っている力を出すことはできた。一回2死一塁の場面では、素早いけん制で一塁走者の岡島を刺した。自らの手でピンチの芽を摘み取ると、最速148キロの直球と、カット、カーブ、スライダーを織り交ぜ、五回までは二塁を踏ませない圧巻の投球で楽天打線をねじ伏せた。
最大のピンチは六回だった。2死から安打、四球で一、二塁のピンチを招き、続く岡島に左前へ痛打された。失点かと思われたが、エルドレッドの好返球で本塁生還を阻止。守備に救われた。
結局、打順の巡り合わせで、大瀬良は6回で交代した。「全体的によかった」と振り返ったが、「六回はエルドレッドに助けてもらったけど、あそこでしっかり粘って投げないといけない。もう一踏ん張りできるように成長したい」と自らに言い聞かせた。
修正能力があることを証明した。前回5月24日のオリックス戦(ほっと神戸)で自己最短の4回4失点でKOされた。大学時代ならば春季リーグ終了が今の時期だけに、「大卒の選手は今が一番疲れが来るとき」と畝投手コーチ。大瀬良も疲労がたまっており、野村監督も「登板間隔を開けてもいい」と気遣っていた。
それでもこの日の登板に合わせ、きっちり調整してきた。大瀬良は「修正することはできた」と納得した表情を浮かべ、指揮官も「先発の役割は果たした」とねぎらった。6勝目はお預けとなったが、次こそ勝利に導く快投を見せてくれるはずだ。