惨敗も菊池に光明 意地のマルチ二塁打
「交流戦、日本ハム10‐2広島」(3日、札幌ド)
惨敗の中で気を吐いた。広島・菊池がチームでただ一人、マルチ安打を放った。「何もないです」。自身の結果よりも、チームの白星を優先する男だ。試合後は極めてシンプルな一言を残した。悔しそうに、立ち止まることなく、バスに乗り込んだ。
積極的な姿勢が結果につながった。2‐0の三回、先頭で中村の変化球をたたいた。打球は右翼手の左を越え、悠々二塁に到達。3点を追う五回は、先頭で谷元の変化球を強振。左翼手頭上を越える二塁打を放った。
ともに初球をたたいた。無死二塁の好機をつくった。追加点が欲しい場面、反撃を狙う場面それぞれで仕事を果たした。しかし、後続の主軸から快音が響かない。本塁が遠かった。
マルチ安打は5試合ぶりで、今季13度目。チーム53試合目だが、昨年の同試合消化時点の打率・230に対して、今季は打率・294。打撃面の成長が著しい。
新井打撃コーチは以前から「彼は感性があるし、下半身が安定してなくても軸を残して打てる。自分から仕掛けることができる」と評価している。チームは惨敗だったが、菊池は存在感を示した。
表情を変えることなく引き上げた菊池。次はチームの勝利と一緒に、はじける笑顔が見たいところだ。