【高橋建の目】普段着野球できれば…
広島にとって鬼門と言われてきた交流戦は、9勝15敗で最下位に終わった。この要因は、以前から言ってきたが“疲れ”が一番だと思う。開幕から快進撃を続け、ちょうどチーム全体が疲れたときに交流戦に突入した。しかも交流戦初戦がソフトバンク、続いてオリックスとパ・リーグで上位チームとの戦いで始まったことも調子に乗れなかった。
ソフトバンク、オリックスは、戦う前から強いというイメージで見ていたと思う。ただ、それに対しての準備が足りなかった。この2チームは強く振る打者が多く、そんな相手に真っ向勝負を挑みすぎた。もう少しボール球を使うなど工夫を凝らせば、違う結果になっていたかもしれない。
9連敗中にもソフトバンク、オリックスと対戦し、一度も勝つことができなかった。この4試合は、交流戦開幕当初に4連敗し、2チームが強いというのを意識し過ぎたのではないだろうか。
連敗中、気分的にめいっているとき、15日のロッテ戦(QVC)でエルドレッドが逆転満塁本塁打を放ち、チームの雰囲気を変えた。あの一振りが5連勝をもたらしたと言っても過言ではないだろう。
交流戦最後は5連勝で締めた。普段着の野球さえできれば今年のカープは強い。27日からはペナントレースが再開する。交流戦で負け越したが、セ・リーグで貯金があるのは巨人と広島の2チームだけだ。数字的な強さを自信に戦っていけば、首位争いは続く。
長いシーズン、体力的、精神的に“疲れ”はある。勝敗に波があるのも当然だ。ましてや20年以上も優勝から遠ざかっており、慣れない戦いになるかもしれない。しかし、普段通りの野球をやってベストを尽くせば、交流戦ではき出した貯金を再び取り戻すことはできるだろう。
◆高橋 建(たかはし・けん)1969年4月16日生まれ。横浜市出身。横浜高から拓殖大、トヨタ自動車を経て94年度ドラフト4位で広島入団。09年、メジャー挑戦(メッツで28試合登板、1敗、防御率2・96)。10年、広島復帰して同年、引退。日米通算487試合に登板し、70勝を挙げた。14年から高橋建オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/carp‐k‐takahashi/)を開設。