ロサリオサイクル!金本以来の鯉6人目
「巨人9-4広島」(2日、長野)
広島は巨人との首位攻防3連戦の初戦を落とした。しかしライネル・ロサリオ外野手(25)が史上63人目、広島勢では99年の金本知憲以来6人目となるサイクル安打を達成。投手陣が踏ん張れずに巨人とは2ゲーム差に開いたが、ロサリオの快挙を反攻の弾みにする。
快挙は全力疾走で達成された。ロサリオはベース上で、祝福の花束をうれしそうに両手で抱えた。
4‐8の八回、先頭で山口の変化球を強振。ボテボテの打球が、三塁・村田の前に転がった。
「最後の打席になると思っていた。とにかく全力で一塁ベースを走り抜けました」。一塁への送球がそれ、二塁に進んだ。記録は内野安打と失策。広島では99年の金本以来、15年ぶり6人目のサイクル安打を達成した。
始まりは来日初の初回先頭打者弾だった。一回、杉内から中堅左へ9号ソロ。「少し上がりすぎたと思ったけど、いい風も吹いていた」。自身も追い風に乗った。
1‐3の二回、2死二塁から左翼フェンス直撃の適時三塁打。そして2‐6で迎えた六回、1死一塁から右越え二塁打を放ち、田中と菊池の連続適時打を呼び込んだ。
本塁打、三塁打、二塁打で、快挙に王手。ベンチでは天谷から「シングルを打とう。センター返しを狙おう」と言われた。同僚のエールに結果で応えた。
出場した最近5試合で17打数2安打3打点と不振で、4番を外され迎えた一戦。「打席でバタバタしていた。とにかく落ち着いて、集中しようと思った」。気持ちを静めて快挙を達成した。
野村監督は「サイクルはすごいこと。これで乗っていってくれれば」と目を細めた。完敗の中で光はあった。巨人と2ゲーム差。首位浮上は逃したが、相手を上回る16安打。状態は悪くはない。反攻に向け、切り替えるだけだ。
今季から4年契約を結ぶロサリオ。指導を受けると、帽子を取って頭を下げる。日本的な礼儀も身についてきた。日本語で「アリガトウゴザイマシタ」と締めくくった助っ人。勝負の9月。再び主役になり、チームを勝利に導く。