ドラ2薮田“鉄腕”横山の背番23継承
広島のドラフト2位・薮田和樹投手(22)=亜大=が25日、広島市内のホテルで仮契約を結んだ。契約金7000万円、年俸1000万円。背番号は今季限りで引退した横山竜士投手(38)が付けていた「23」に決まった。高校、大学と故障に苦しんだ薮田だが、プロで20年間投げ続けた鉄腕の魂を継承し、カープのためにフル回転する。
やっと実感がわいてきた。仮契約を終え、憧れだったカープの一員になった。「小さいころからの夢がかなったという気持ちです。今まではうまくいかなかった方が多かったので、気持ちを切り替えて、これからいこうという感じです」。広島出身で鯉党だった薮田の頬は自然と緩んだ。
旧市民球場で見た光景が原点だった。小学2年生の時、母・昌美さんに連れられてスタンドから観戦。その時、心を引かれたのは当時4番に座っていた金本だった。「1番遠くに飛ばすし、目立っていたし、4番だったので」。それからは背番号10のユニホームを着て応援しながら、将来の自分の姿を重ねるようになった。
ただ薮田の野球人生は順風満帆ではなかった。岡山理大付では九里の1学年下で将来有望な投手として期待されたが、最上級生になった直後に右肘を疲労骨折。亜大でも入学後に再び右肘を疲労骨折した。3年春にリーグ戦2試合に登板したが、4年の春季キャンプ中に右肩を痛め、そのままリーグ戦では投げられずに大学生活を終えた。
そんな薮田にとって、この日渡された背番号23の先輩は大きな目標だ。今季限りで引退した横山は、プロ生活20年間で507試合に登板した鉄腕。「23といえば横山竜士さん。20年間プレーされましたが、僕もしっかり受け継いで息の長い選手になれるように、どんな回から任されても仕事を全うする投手になりたい」と目を輝かせた。
現在右肩の状態は良好の様子で、練習では遠投を行っているという。最速151キロの剛球に加え、故障中に覚えたフォークも備え持つ大型右腕だが、焦る気持ちはない。「1番はケガをしないための体づくり」。体が万全ならば勝負できる。未知の魅力満載の薮田が“横山魂”を胸に、鯉党の心をつかむ投手を目指す。