広島・緒方孝市監督（４６）が６日、佐賀県鳥栖市内で開かれた監督就任祝賀会に出席し、８年ぶりに復帰する黒田博樹投手（３９）を今季の開幕投手候補に挙げた。この日、米国滞在中の黒田から国際電話が入り、互いに２４年ぶりの優勝を誓い合った。前田とダブルエースを形成し、悲願を成就させる。

　年末年始を故郷・佐賀で過ごした緒方監督。帰広を翌日に控えた昼、携帯電話に思いがけない人物からの着信があった。黒田博樹－。大リーグの巨額オファーを蹴り、年俸４億円で８年ぶりの古巣復帰を決めた右腕からの国際電話だった。

　「本人からすごい意気込みが伝わってきた。オレも『黒田が帰ってきたからには、１年目でも優勝するぞ』と声をかけた」

　一昨年１２月以来という会話は２０分に及んだ。黒田は現在、米国ロサンゼルスで自主トレ中。現在の練習内容や、２月中旬を予定しているチーム合流後の調整法などについて意見を交わし「調整は本人に一任する」とマイペース調整を容認した。

　前田とのダブルエースが完成し、先発陣の充実は計り知れない。「２人が柱になる。黒田は精神的な柱にもなれる。いるだけで空気を変えてくれる。マエケンの負担も減るだろう」と、黒田の存在感が生み出す有形無形の相乗効果に期待を寄せた。

　黒田の復帰でクローズアップされる開幕投手。マツダスタジアムでは初となる本拠地開幕戦。昨年を含めて４度の大役を務めた前田か。それとも０７年まで５年連続で晴れ舞台に上がった実績がある黒田か－。

　指揮官はこの日「前田が第１候補なのは間違いない」とした上で「黒田も状態が良ければ名前が挙がってくる」と言及し、黒田に８年ぶりの開幕投手を任せる可能性を示唆した。

　ハイレベルで繰り広げられる開幕投手争いは、先発投手陣のさらなる飛躍にもつながる。「周囲の期待を開幕から加速させていきたい」と開幕ダッシュを宣言した新指揮官。２４年ぶりの悲願成就へ－。嗅ぎ慣れた故郷の空気が指揮官の心を高揚させた。