広島・中崎翔太投手（２２）が２２日、広島県廿日市市の大野練習場で行われている合同自主トレに合流。今年初めてブルペン入りし、捕手を立たせて３３球を投げた。２１日まで都内で前田健太投手（２６）らと合同自主トレを実施。エースから伝授されたスライダーを武器に、開幕１軍と勝利の方程式入りを目指す。

　甲高く、乾いた捕球音がブルペンに響いた。中崎が躍動感あるフォームで右腕を振り抜く。見る者を圧倒した３３球。上々の滑り出しを決めた、今年初めての投球練習だ。

　「ボールがしっかりと指にかかるのをイメージして投げた。最初にしてはよかった」

　直球に加え、スライダーを３球投げた。そのうち１球は、エースから伝授されたものだ。

　２１日まで都内で約１０日間、前田、大瀬良、中田、阪神・藤浪と初めて合同自主トレを実施。「もっと空振りが取れ、見逃しも取れるスライダーにしたかった」。肉体強化を図りながら、自身のウイニングショットを進化させるため、球界屈指の使い手・前田に助言を求めた。

　「握り方や腕の振り方などを話してもらった。腕の振りを、いかに真っすぐと同じようにするかが大事だと言われた」。ブルペンで試すのは、この日が初めて。それでも球速や曲がり方に一定の手応えがあった。「これからも試していきたい」。完全習得に向けて、継続して練習していくことを決めた。

　主眼を置いていた肉体強化にも成功した。ハードな筋力トレや瞬発系のメニューをこなし「２６％だった体脂肪が２１～２２％になって、筋肉量が増えた」。その結果、昨年から取り組む足を高く上げるフォームにより安定感が生まれた。最速１５３キロの直球の威力は倍増。投球練習を見守った堂林が「ザキ（中崎）の球、えぐい」と感嘆の声を上げたほどだ。

　一昨年オフ、右手血行障害の手術を受けた。「今はいい感じ」と不安はない。寒さが厳しいこの時季はカイロが必須アイテム。常に温めることで、指先の感覚を維持している。

　昨季は４年目で自身最多の３２試合に登板した。夏場からはセットアッパーも任された。今季の目標は明確。開幕１軍を勝ち取り、勝利の方程式メンバーに名を連ねることだ。

　「キャンプ初日から全力で投げたい」と力を込める。エースの切れ味鋭いスライダーを自分の武器に変え、サバイバルレースを勝ち抜いてみせる。