マエケン24年ぶりVへ初星贈る
「広島-ヤクルト」(27日、マツダ)
プロ野球は27日、セ・パ両リーグともに開幕し、広島はマツダスタジアムでヤクルトと対戦する。2年連続5度目の開幕投手を務める前田健太投手(26)が26日、緒方孝市新監督(46)に初勝利を贈ることを誓った。開幕戦は過去1勝2敗だが、野村前監督の就任1年目、2010年は勝利。「なんとか1勝をプレゼントできるように」と力を込めた。24年ぶりVと沢村賞、自己最多18勝を目標に掲げる絶対的エースが、チームに勢いを呼ぶ。
開幕を翌日に控えたエースは、偽らざる心境を語った。チーム一丸で、24年ぶりの優勝を誓う1年。実に13年ぶりとなる地元開幕戦。過去に経験のない、重圧を背負って挑む戦いが始まる。「楽しみと不安…半々ですね」。静かにほほ笑みながら、前田は言葉を続けた。
「今季に懸ける思いは誰よりも強い。不安はあるけど、自分の投球ができるようにやってきたつもり。楽しみな部分は多いです」
2年連続3位でCS出場を果たした昨季は、喜びより悔しさの方が大きかった。8月以降は11試合で2勝5敗。数字以上に勝負どころで、勝てなかったイメージが強い。オフは原点回帰で直球を磨き、縦スラ習得で投球に幅も広がった。「やっと、始まる」。短い言葉に確かな自信と、雪辱の思いを込めた。
キャンプイン前日の1月31日。全体ミーティングで緒方監督から、開幕投手に指名された。指揮官は今季、エースに完投数増を期待する。昨季は中5日が9度。チーム事情があったが、前田も「毎年、思っていること。後ろに信頼できる投手はいるけど、任せてばかりではダメなので」と応えるつもりだ。
「意外と勝ってないんですね」。過去4度の開幕戦登板は1勝2敗。決して相性は良くないが、克服に自信もある。「開幕はどうしても気持ちが入りすぎてしまう。何回か失敗しているので経験にして。できるだけ力を抜いて投げる」。失敗の経験を糧にした“脱力投球”で勝利に導く。
野村前監督が就任した10年には、中日戦で8回4安打1失点で、記念すべき初勝利を贈った。新生・緒方カープのオープニングゲーム。前田は不敵に笑う。「監督が代わって初めての公式戦。何とか1勝をプレゼントできるように、先陣を切って頑張りたいです」。コイ伝説の幕が開ける。大観衆の声援を背に、エースがマウンドに上がる。