マエケン悔幕…124球の熱投実らず
「広島2-4ヤクルト」(27日、マツダ)
一塁ベンチから祈るようにグラウンドを眺めた。広島・前田健太投手(26)にとって2年連続5度目の大役は、13年ぶりの本拠地開幕戦。期する思いは1球に込めた。7回7安打2失点。先発の仕事は果たした。それでも勝てなかった現実に、エースは責任を一身に背負った。
「最終的に負けてしまった。チームにいい流れを持っていける投球ができなかった」
初回、いきなり先頭の山田に中前打を浴びた。2死二塁まで粘ったが、4番雄平に2-2からの5球目。内寄りの144キロ直球を右前に運ばれて先制点を失った。この回計27球。打者30人に対して11人に初球ボール。「狙ったボールが少しずつ甘く入った」と、微妙な制球に苦しんだ。
だが、二回以降は必死に粘って、走者を出しながら得点を与えなかった。七回2死二塁から川端に中前打を許して2点目を献上。それでも気持ちを切らさず、続くミレッジを空振り三振に斬った。グラブを叩いて激しく吠え、勝利への執念をマウンドで体現した。
キャンプイン前日の1月31日。全体ミーティングで指揮官から、開幕投手を指名された。感謝の思いは気迫の投球に変えた。100球を超えた七回も続投。初戦から124球の熱投だ。「次はしっかりした投球がしたい」。エースは悔しさを押し殺して、雪辱を誓う次戦へと視線を向けた。