「広島１－０ヤクルト」（２８日、マツダ）

　大記録はならなかった。それでも広島・ジョンソンは最後まで気持ちを切らさず、マウンドに立ち続けた。来日初登板初先発で、１安打無四球完封勝利。緒方監督に初勝利を贈る大仕事をやってのけた。

　六回までパーフェクト投球。しかし１－０の七回、先頭の山田に内角高め１４４キロの直球を右翼線に運ばれた。力のない打球だったが、無情にも鈴木誠の前にポトリと落ちた。

　「（完全試合は）気が付いていた。でも１本出て肩の荷が下りた」。記録への重圧から解放されると、そこから９個、しっかりアウトを重ねた。

　完璧と言っていい。最速１４８キロの直球を軸に、スライダー、カットボール、チェンジアップを織り交ぜ、打者をほんろう。「ストライク先行でいけた」と振り返った。さらに制球力もさえわたり、無四球完封。「９回で無四球は初めて」というが、ヤクルト打線に付け入る隙を与えなかった。

　バットでは七回に左前打で来日初安打をマークした。「言うことなしだよ」と緒方監督。チームの外国人投手初登板初完封勝利は、９５年のチェコ以来２人目。そして１安打完封は、０１年の黒田以来の快挙だ。

　婚約者カーリン・コマーさんが３日に来日した。休日は厳島神社や広島城など観光地を訪れる。焼き肉店にも足を運ぶなど、２人で日本食に舌鼓を打っている。この日はスタンドから声援を受け「彼女の前で投げられたのはうれしいね」と声をはずませた。今オフに挙式し、ハワイへのハネムーンを予定している。

　わずか２時間１３分で試合を終わらせた。最高のスタートを切った助っ人は、お立ち台で「早く家に帰って夕ご飯を食べます」と言って笑いを誘った。助っ人左腕が最高のスタートを切った。