鯉の新井、甲子園で決めた!見たかV打
「阪神2-7広島」(11日、甲子園)
均衡を破った。二塁に到達した広島・新井は両手をたたき、広島ベンチに向けて右手を突き上げた。1-1の六回無死一、三塁。メッセンジャーの直球を捉えると、打球は左翼手の頭上を越えた。
1点を勝ち越す適時二塁打が、黒田に白星をつける決勝打になった。さらに田中、黒田、梵が適時打で続き、この回一挙4得点。「タイミングが取れてた。黒田さんが粘っていたので、絶対に(走者を)かえそうと思っていた」。左翼席に陣取る鯉党の大歓声に包まれ、誇らしげに胸を張った。
緒方監督は「今日は打線がつながった。最初に火を付けてくれたのが新井。さすが新井。ベテランのバットが打線に勇気を与えてくれた」とたたえた。昨年まで本拠地だった甲子園の虎党からは、打席に立つたびに拍手を送られた。
新井は七回にも左前打を放ち、田中の適時打で生還。開幕前に痛めた右肘が回復し、今季2度目のスタメン出場で初のマルチ安打、そして決勝打を放った。打線は13安打で今季最多7得点。今季5勝目にして、初めて相手に2点差以上をつけた。「投手陣に負担がかかる試合ばかりで申し訳なかった」と、野手の思いを代弁した。
黒田とともに8年ぶり古巣に復帰した。右腕を打撃で援護したのは、07年9月27日・ヤクルト戦(広島)で1打点を挙げて以来、2753日ぶりだ。今年1月5日の自主トレ公開時には、再び4番打者として黒田を援護する姿を思い描き「そうなればドラマのよう。そこを目指して頑張りたい」と話していた。
この日は6番打者だったが、黒田の2勝目に貢献したことは事実。新井は「黒田さんはマウンドから伝わるものがある」と感慨に浸った。8年前と立場は変われども、一振りにかける気概は同じだ。