鯉ドラ1野間 甲子園で“凱旋三塁打”

 「阪神4-3広島」(12日、甲子園)

 広島のドラフト1位・野間峻祥外野手(22)=中部学院大=が甲子園初安打をマークし、故郷がい旋を飾った。2点を追う五回に右中間を深々と破る三塁打。この一打をきっかけに同点に追い付き、六回には勝ち越したが、逆転負け。再び単独最下位となった。惜しくも4連勝は逃したが、野間ら7人を並べた左打線で“天敵”藤浪を攻略。この日の黒星は今後につながるはずだ。

 打球が右中間を深々と破った。野間は俊足を飛ばした。「真っすぐを頭に入れていたが変化球をしっかり振り切れた。(打球を)見て、行けると思った」。足から滑り込み悠々セーフ。三塁上で冷静に泥を払った。0-2の五回。先頭打者として藤浪の変化球を捉えた。今季2本目となる三塁打が、甲子園での初安打となった。

 兵庫県出身の野間が地元で放った記念すべき1本。これが反撃への口火となり、続く石原の適時打で生還。さらに菊池の同点打も出た。ただ、試合は無念の逆転負け。六回に相手失策で勝ち越したが、八回に中崎が鳥谷に逆転2ランを浴びた。

 野間は3-4の九回に無死一塁から犠打を決めたが、後続が凡退した。「チャンスをつくれたのは良かった。でも負けてしまったので…」。試合後の表情に笑顔はない。それでも甲子園初安打は一生の思い出になったはずだ。村野工時代は県大会4回戦が最高。近くて遠かった聖地での初安打は、特別な1本だったに違いない。

 この日は藤浪対策として野間ら左打者がずらりとスタメンに並んだ。大勝した11日・阪神戦で4安打のロサリオ、決勝打の新井を外し、投手ジョンソンを含めると7人が左打ち。すべては昨年1勝6敗と苦手にした藤浪を攻略するためだった。

 打線は機能し、天敵から3点を奪った。「新井コーチの提案があって面白いと思った。黒星はつけられなかったが苦しめられた」と緒方監督。セの5球団と対戦を終え、借金4で単独最下位という結果には不満はある。だが藤浪を苦しめたこの日の攻撃は、今後の阪神との戦いに大きな影響を与えるはずだ。

 下を向いている暇はない。野間は「足が使えるように出塁率を意識したい。積極的にプレーしたい」と自らに言い聞かせた。若鯉たちの戦いはまだ始まったばかりだ。

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